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一連のモデルの紹介の最後は、すけすけモデルだ。うーん、セクシー。

スケスケとは何か。エビちゃんモデルはヌードモデルだった。…。近頃結婚した人の名前を使うのはまずかったか…。まあ、とにかく宇宙から地肌が丸見えだった。薄着モデルは薄いながらもきちんと服を着ていた。地上からの光は全て大気に吸収されるので、宇宙からは直接地肌を見ることはできない。

スケスケモデルはその中間。一部を吸収して、一部を宇宙に逃がすモデルを考える。地表の放つ赤外線が見えそうで見えないスケスケモデル。

大気が地上からの赤外線をどのくらい吸収するか、ここでは吸収率と呼ぶ。扱いやすいように、ギリシャ文字のα(アルファ)であらわしておこう。この吸収率、αをとりあえず 77 % としよう。もちろん、別な値でも良いので、後で変えてみよう。いろいろといじれるのがモデルの良いところ。
以下、薄着モデルを思い出しながら考えてほしい。

雲などに反射されたのを除くと、太陽から平米あたり 238 W の光がやってくる。これを地面が吸収する。その他、大気からの赤外線も地面へ入ってくる。この二つを合わせると、地面は 387 W の赤外線を放つわけ。

この地表から発せられた赤外線を大気が吸収する。387 W の 77 %、つまり 298 W。これを上下に半分ずつ、つまり、149 W ずつ放射する。
スケスケ
式を書いておこう。

地表が太陽から受け取るエネルギー = (1-アルベド) * 太陽定数 /4
地表の出すエネルギー = シュテファン=ボルツマン定数 * 地表温度の 4 乗
地表が太陽から受け取るエネルギー + 地表が大気から受け取るエネルギー =  地表の出すエネルギー

大気が受け取るエネルギー = 吸収率 * 地表の出すエネルギー
大気が出すエネルギー = 上向きに大気が出す赤外線 + 下向きに大気が出す赤外線
大気が出すエネルギー = 大気の受け取るエネルギー

改めて地表の受け取る熱を計算してみると、太陽からの 238 W と大気からの 149 W で、387 W。これが大気と宇宙に向かって放射される。

大気から宇宙に出て行く熱は 149 W。地表から直接宇宙に出て行く熱は 89 W。あわせて 238 W。こちらも、雲などに反射されずに入ってくる熱量とつじつまが合っている。そんなふうにモデルを作ったからあたりまえだけどね。

で、ステファンボルツマン係数から地表の気温を計算してみると、14.5 ℃となる。これはほとんど地球の平均気温に等しい。

やった、ついに僕たちは究極のモデルを手に入れた!エビちゃん、薄着モデル、厚着モデルといったモデル遍歴の末に、ついに最高にセクシーなモデルに巡り会えた!

……

と、はしゃいじゃいけない。


スケスケモデルはそもそも、いろんなものを無視している。水が蒸発や凝結を起こして熱を運ぶ効果や空気が移動して熱を運ぶ効果を無視している。雲の働きは太陽の光を遮るところでしか考えていないし、日が昇って沈む効果、季節の移り変わり、緯度による温度の変化、みーんな無視している。

だから、温度が地球の平均気温と一致するはずがない。するはずがない、というのはすこし言い過ぎだけど、もし一致したとしても、偶然であるの可能性が高い。スケスケモデルには、地球の温度をぴったりと再現できる実力は備わっていないはずなんだ。

とはいえ。スケスケモデルはやっぱり良いモデルだと思うよ。

たとえば、モデルで出てきた大気の吸収率 α を変えてみよう。それに応じて地表の温度がどんな風に変化するのか。

吸収率地表温度
0-18
0.2-12
0.4-4
0.65
0.816
130


まず最初に、吸収率 α が 0 のとき。これは、地表から出た赤外線が直接宇宙に出て行き、大気はエネルギーをもらえないから全く光らない、という状況だ。温室効果 0 の、エビちゃんに対応している。当然出てきた地表温度もエビちゃんと同じだよね。

吸収率が 1 の時。地表から出た赤外線が全て大気に吸収され、それが宇宙と地表に流れる。薄着モデルと同じ。結果も当然薄着モデルと同じ。

スケスケモデルは、ヌードのモデルと服を着ているモデルの中間に位置しているんだ。あたりまえだよね、スケスケなんだから。そして、吸収率 α が増えると、つまり、スケスケ度合いが下がると、地表の温度が上がることを教えてくれる。

ところで、そもそも吸収率とは何を表しているのだろうか?もちろん、地表が放った赤外線が大気に取り込まれる割合、ということなのだけど、いろんな状況が考えられる。僕が一番最初に思いつくのは、赤外線に対して半透明な状態。薄く透ける布をまとった、本当に見えそうで見えない「スケスケ」イメージだよね。

その他には、吸収率に地理的な分布がある場合。ある場所では大気が赤外線に対して透明だけど、その他の場所では吸収が強くて不透明、みたいな。大事なところを水着で隠しているイメージか。この場合、吸収の強い場所が大きければ、つまり、水着の面積が大きければ、吸収率が上がることになる。

さらに、大気に「色」がついている場合。「青」だけ吸収して「赤」は吸収しない、となると、宇宙から見た地球は「赤」く見えることになる。まあ、本当は赤外線だから、赤とか青とか言うのは正しくないのだけど、言いたいのは赤外線の波長で吸収されるところ、されないところがある、ということだ。

この最後の「色」がついている場合、というのは地球の状況に近い。前にも触れたことがあるけど、赤外線の波長によって地球の大気の透明度は異なる。二酸化炭素や水蒸気が好んで吸収する波長というのがあって、そのような波長を感じる目を持った人に対しては、宇宙から見た地球の大気は不透明で、ぼんやりと輝いている。その一方、「大気の窓」と呼ばれる波長では、地表の発した赤外線が直接宇宙に逃げていく。つまり、そのような波長の赤外線を感じる目を持った人にとって、大気は透明で地表がくっきりと見える。

二酸化炭素が増えると温室効果が増加する、というような話は「飽和論」に絡めて厚着モデルのところでちょっと触れた。スケスケモデルは温室効果に関して、(飽和論とは関係ない) もう一つのことを教えてくれる。

地球の放った赤外線が宇宙に出るまでにほとんど吸収されない波長帯、ほぼ完全に吸収されてしまう波長帯がある。説明しよう。温室効果気体は本来ある波長でしかエネルギーを吸収しない。まあ、それが、熱運動によるドップラー効果や圧力による効果で広がっていて、本来の波長でもっとも赤外線を吸収しやすいのだけど、少しずれたところでも吸収が起きる。そして、この本来の波長から外れた部分においては、地表から出た赤外線が一部しか吸収されなかったりする。

温室効果ガスが増えると、この本来吸収される波長からすこし外れた波長の赤外線の、地表から宇宙に到達するまでの間に吸収される割合が大きくなる。つまり、地表から出てきた赤外線がより多く吸収されることになる。

つまり、温室効果ガスが増えるとαが大きくなる!

そして、スケスケモデルは、αが増加すると、つまり、大気が赤外線を吸収する率が上昇すると、地表の温度も上昇することを教えてくれる。どうして α が上昇するのかはスケスケモデルの知るところではない。でも、α が増えると地表気温が上昇することは明確に教えてくれる。

そんなの、このブログを読むような人ならみんな知っていることかもしれない。温室効果ガスが増えたら地球が温暖化するのは常識だからね。でも、それをくっきりと数値で示してくれるところがスケスケモデルの良いところ。

スケスケモデルは、これまで見てきたモデル達並に美しい。

さて、僕の意見では、これまで見てきたモデルの中で、スケスケモデルが一番地球の状況をよく表していると思う。でも、先にも述べたけど、その理由は地球の温度をぴったりと表現できるからではない。地球に温室効果があって、地表からの赤外線が一部宇宙に直接抜けて、といった状況がモデルの中に含まれているからだ。

一方でスケスケモデル以外のモデルは、エビちゃんは温室効果を表現していないし、一方で薄着モデルは地球の大気に存在する大気の窓を表現できていないし、厚着モデルは薄着モデルよりもさらに地球の状況から遠い。

もちろん、スケスケモデルで表現できていないところがある。雲や日変化や季節変化などはいうまでもないが、たとえば、温室効果ガスの吸収が「飽和」しているような波長で、何度も吸収と再放出が繰り返されるような効果 (厚着モデルが表現したのと似た効果) が含まれていない。

だから、スケスケモデルの大気を厚着モデル風に重ねてみたら、もっと地球の状況に近いモデルができるかも知れないね!でも、そんなモデルを作りたいかと聞かれたら、僕は少し考え込んでしまう。そんな、いわばスケスケ重ね着モデルは何を教えてくれるのだろう?何に対して必要十分なのだろう?スケスケモデルと厚着モデルが教えてくれた以上のことを教えてくれるだろうか?なにか相乗効果があるだろうか?

もしかしたら、スケスケ重ね着モデルは良いモデルなのかも知れない。だけど、今のところ、僕は紹介する必要を感じていない。でも、もし興味があって物理が得意な人がいたら、ぜひ考えてみてほしい。いろんな発見があるかも知れないよ。

どれが地球の状況に近いかなんて、本当はそんなに意味があることでは無いんだよね。それよりも、一つ一つのモデルが述べることを吟味することが大切。

なんだか、中高生時代に言われたことを思い出す。学力テストの結果は、点数を見るよりも、どこが正解でどこをどうして間違えたのかを確認する方が大事だってやつだ。

ぴったり地球の表面温度を再現できるかどうかなんて、そんなに重要じゃない。しょせんはモデルだ。それぞれ、正しいところもあれば間違っているところもある。そこをふまえた上で、読み取れるだけのことを読み取ること、それが大事なんだ。

次の記事で、とりあえずこれまでのことをまとめてみよう。
タグ 記事:モデルとは はてなブックマーク - モデルとは何か (7) スケスケモデル
2010.07.06 Tue l 温暖化論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

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