上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
はてなブックマーク - スポンサーサイト
--.--.-- -- l スポンサー広告 | top ▲
懐疑論者一覧表はこちら

はじめに

「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである」

トルストイの小説、アンナ・カレーニナの冒頭の言葉である。

今回、懐疑論者を論じながら、

「人為起源 CO2 による温暖化を唱える者ははすべて互いに似かよったものであり、それに懐疑論を唱える者はだれもそのおもむきが異なっているものである」

と感じた。

温暖化論者は基本的に同じことを唱えている。少なくとも科学的な観点においては、IPCC の言うことと大した違いはない。それに比して、懐疑論者たちの唱える論は多様である。それだけではない。メディアを通じて伝わる温暖化論者達は総じて没個性的であるのに対し、懐疑論者達はそれぞれの著作物において強烈な個性を発揮している。

トルストイの言葉はさらに敷衍できそうだ。幸福な家庭を描いて小説をおもしろくするのが難しいように、すでに広く受け入れられている温暖化論を語って人の心をつかむのは難しい。一方で、それぞれにおもむきがある不幸な家庭と同様、多様で個性的な懐疑論は多くの読者に歓迎される。
今後も、温暖化が人類にとっての問題であり続ける限り、温暖化懐疑論の隆盛は続くに違いない。それは、しかしながら私にとっては楽しみではある。温暖化の科学それ自体もおもしろいが、個性的な懐疑論も、たとえそれがいかに間違っていようが、おもしろいのである。

ここまで数回にわたって懐疑論者を個別に記事にした。丸山さんどこまで突っ走るの、赤祖父さんやる気ないでしょ、伊藤さん細かすぎ、武田さんはいはい誠実誠実、槌田さんあなたとはわかりあえないみたいですね、と一人一人について私の思いを語ってきた。最後はテーマ別に懐疑論者間の比較をして、この懐疑論列伝の結びとしたい。


IPCC が語る温暖化の科学に対する知識

1 伊藤さん
2 赤祖父さん
3 丸山さん
4 槌田さん
番外 武田さん

温暖化の科学に対する知識、とは、ここでは IPCC の唱える温暖化の科学をどの程度理解しているのか、ということである。もちろん、IPCC の唱える科学など信用できない、理解する必要などない、という立場もあろう。その辺は十二分にお含み置きいただきたい。決して理解していないから頭が悪いなどと私はいうつもりはないのであることはどれだけ強調しても強調しすぎることはないのであって、くれぐれもよろしく。

伊藤さんの知識は、IPCC に関わっていることもあって 5 人の懐疑論者の中で図抜けている。赤祖父さんはよくわからないのだが、地球科学を教えていたという事実から、知っていてほしいという私の願望を込めてこの位置に。丸山さんも同様であるが、赤祖父さんに比べてやや軽率な発言が目立つため、赤祖父さんの下に。槌田さんについては、たとえば真鍋論文を誤解しているような発言があり、現在の IPCC の唱える温暖化論を理解しているというのは難しかろう。もちろん、温暖化論者の側も槌田さんの論を理解できていないので、おあいこといえる。

武田さんは…。まあ、誠実を語る人の科学への理解について議論しても詮無い話である。かえって正確な理解は邪魔かも知れない。


懐疑論初心者へのおすすめ懐疑論者

1 丸山さん
2 伊藤さん
3 武田さん
4 赤祖父さん
5 槌田さん

市井の、専門家でない一市民が地球温暖化論に怒りを覚えたとき。そして、ブログなどでその情報を発信する気になったとき。ウェブは無法地帯である。アンチ懐疑論者に論争を挑まれたとき、なんらかの懐疑論を携えていなければ自分のみを守るのは難しい。論争という観点での私のおすすめ順に、各懐疑論者の懐疑論を眺めてみる。

まず、もっともおすすめなのが丸山さんの理論である。正確にはスベンスマルク理論がおすすめと言うことなのだが。宇宙的な広がりを持つこの理論を現在の気候学の枠組みで完全に否定することは不可能であること、ヨーロッパ起源の舶来理論でもあり高級感漂うことなどがおすすめの理由である。いろいろ反論されるかも知れないが、でも完全に否定はできないよね、というスタイルをとって、最悪でも論争を引き分けに持ち込める。

次におすすめなのが伊藤さんだが、問題は懐疑論が多すぎることである。彼に頼る場合、著書などからピックアップして懐疑論を展開することになるわけだが、初心者にはどれがインパクトが大きいか見分けがつきにくかろう。ただし、もし使いこなせた場合は、相手に次から次へと懐疑論をぶつけることが可能になる。上級者には強い味方になりそうだ。

武田さんについては、論自体はつかみ所がなく扱いづらいが、論争という点では、そのつかみ所のなさが利点となり、負けない議論ができる。武田さんの論を採用すると、「ばーか」「お前こそばーか」というような論争になり、知識や論理とは無関係の、忍耐力や暇さ加減の勝負に持ち込むことができる。とことんまで低レベルの議論に耐えられる向きにはお勧めである。注意としては、くれぐれも真剣に理解しようとしないこと。万が一まじめに考えてしまった場合、つかみ所のなさは致命的となるだろう。自己嫌悪に陥ることさえあるかも知れない。なお、もしピンチに陥ったら深く考えずに道徳に逃げ込むと吉。

赤祖父さんの懐疑論は、温暖化は自然変動であると言っているだけなので、説得力弱し。積み上げてきた実績があるから使える理論である。もしこれを採用する場合は、赤祖父さんが大学者であることを全面的に強調すべし。

槌田さんの懐疑論はおすすめしない。取り扱いが難しく、うかつに採用してしまった多くの懐疑論者が恥をさらしてしまうと言う事件が過去にあった。槌田さんは文章を書く際にあまり読者のことを考えていないという問題点があり、きちんと裏読みできないと理解することは難しい。注意して用いること。


私の好み

1 丸山さん
2 伊藤さん
3 武田さん
4 槌田さん
5 赤祖父さん

個人的な好みである。論の善し悪しとはまったく関係ない。懐疑論者側としては、私に好かれても困るかもしれない。

もっとも好きなのは丸山さんである。陽気に爆走しているところが見ていて楽しい。遠くから見ている分には、という条件付きではあるが。つぎに伊藤さんである。やっぱりあの知識は魅力的だ。武田さんは、お説教くさくて苦手。槌田さん、提訴というのは…。爆走しているところは丸山さんと同様だが、陽気さに欠ける。赤祖父さんは、実績ある人なのだからまじめにやってほしい。


今後、一般社会で活躍しそうな懐疑論者

1 武田さん
2 丸山さん
3 赤祖父さん
4 槌田さん
5 伊藤さん

今後の盛り上がりを占う。非専門家への浸透度という話で、専門家からの評価からは別である。

これまでも、そしてこれからも一般社会に受けるのは武田さんだろう。結局、小難しい科学より道徳を語るのが一番売れるのである。まあ、温暖化論も世間の道徳心を刺激して広まった側面があると個人的には思っているので、その反作用だと私はとらえている。

その次に売れるのは丸山さんだろう。なにより突撃力がすごく、これからも本を書きまくることだろう。ただ、武田さんほど売れるとは思えない。丸山さんも道徳を語ったりするのだが、武田さんほどのうまさはないからだ。

赤祖父さんは、本人のやる気以上に周りがほおっておかなさそう。政治家などの後援会でアラスカ大学名誉教授、学士院賞受賞の肩書きを引っ提げて温暖化懐疑論を語る。オーロラの後光でまだまだいけそう。

槌田さんは一般への浸透は厳しいか。どれだけ裁判を続けられるかが鍵。

伊藤さんは、派手な活躍は期待できなさそう。個人的にはいちばんがんばってほしい懐疑論者なので、残念ではある。懐疑論が高級すぎて、社会一般の中で理解できる人が限られてしまう。ただ、安定感はぴかいちなので、新聞等で、識者のコメントとして見かける機会は少なくなさそう。


懐疑論者の団結に向けて

私の持論は、温暖化懐疑論者は団結すべき、ということだ。こちらの記事を読んで頂きたい。IPCC レポートにたぶらかされた人類が不毛で不誠実な地球温暖化対策へと梶を切る中、それを押しとどめるのは整合性があり包括的な反論だけだ。それをまとめるには一人の力では不可能である。そこで、5 人に団結してもらって、5 人全てが協力してレポートを作成することを希望している。

まとめる際の問題は、槌田さんと伊藤さんとの対立だろう。伊藤さんは IPCC の理論を理解しており、槌田さんの IPCC 批判が的外れであることが見抜けてしまう。

伊藤さんと赤祖父さん、伊藤さんと丸山さんの間には深刻な対立は生じないだろう。そもそも、伊藤さんの本の中には赤祖父さんの説が取り上げてあり、また、丸山さんが奉じるスベンスマルク理論も扱ってある。懐疑論であれば何でもありなところがある伊藤さんにとって、赤祖父さん、丸山さんは十分組める相手だ。

しかしながら、槌田さんの説だけはだめだろう。明らかに的を外した批判は、いかな何でもありの伊藤さんであっても受け入れられないからだ。一方で、槌田さんの側は自分の懐疑論がすばらしいものだと思っているので譲れなさそうである。そこには越えられない溝がある。

それでは温暖化懐疑論者は団結できないのだろうか?

いや、可能性はある。実はワイルドカードが存在するのだった。それは、誰あろう、武田さんである。

武田さんは、その人が誠実であるならかならずや受け入れるはずだ。そして、誠実か否かの判断になんら客観的基準があるわけでもなく、私の見立てでは、IPCC の温暖化論に批判的である 4 人の懐疑論者はすべて武田さんのお眼鏡にかなうはずである。

武田さん自身は、あえて論じる必要もない懐疑論しか持っていないため、他の懐疑論者が武田さんを排除するようなことはないだろう。一方で武田さんは、どんな懐疑論であれあらを探すことができる人ではないので、槌田さんを含め、4 人の懐疑論者を受け入れることができるはずだ。

武田さんが中心になれば、5 人が同意できる気候システムについてのレポートを書き上げることができるだろう。問題は、できあがったレポートが、読めば読むほどわからなくなる代物になりそうなことである。


最後に

今後の懐疑論の発展を私は祈っている。IPCC に関わる気候学者には目障りだろうが、私個人にとってはさして実害はなく、それどころか懐疑論やそれに集う人模様は見ているだけで楽しいし、ブログネタにもなる。その上で、誰もが気付かなかった新しい科学的発見があれば、懐疑論ウォッチャーとしてはそれに勝る喜びはない。

今回取り上げた 5 人の懐疑論者の活躍を、そして、まだ見ぬ新たな懐疑論者の登場を楽しみにしつつ、温暖化懐疑論者列伝の筆を擱きたいと思う。
タグ 記事:一周年特別企画 はてなブックマーク - 一周年記念特別企画・地球温暖化懐疑論者列伝 (7) まとめ
2010.03.04 Thu l 温暖化懐疑論概論 l COM(6) TB(0) | top ▲

コメント

No title
とても楽しく読ませて頂きました。お疲れ様でした!
2010.03.04 Thu l mokkei1978 -. URL l 編集
Re: No title
mokkei1978 さま

おばかな長文をお読み頂きありがとうございます。こちらこそおつかれさまでしたと言わせて頂きます。

楽しいとのコメント、書いた人間としてはとても励みになります。ありがとうございました。
2010.03.05 Fri l onkimo -. URL l 編集
はじめまして
環境問題補完計画さんのページからリンクをたどってきました。懐疑論者列伝、楽しく読ませていただきました。
"温暖化を唱える者ははすべて互いに似かよったものであり、それに懐疑論を唱える者はだれもそのおもむきが異なっている"に唸ってしまいました。
ところで。拙ブログでは身の程知らずに「研究者列伝」に挑戦中です。懐疑論者列伝に思いきりかぶっています。しかも、懐疑論者列伝開始の約1ヵ月後に研究者列伝開始。
私がマネしているようにしか見えないです。本当に偶然なんです・・・。と言っても言い訳ですね。ご寛恕くださいませ。
今後も楽しい記事、お待ちしています。
2010.03.09 Tue l mushi HYn7E9XE. URL l 編集
No title
今回もonkimo節炸裂していますね。
さりげない感じですが、これだけの内容を書くのは大変な脳内作業だと想像します。
失礼かもしれませんが、ビール片手に、くすくす笑わせてもらいつつ読ませていただきました。M-1にたとえると、ちょっとわかる人にだけわかるネタなので、グランプリにはならず、準優勝って感じですかね。面白かったです。

でも、私もここに上がった人の本をそれぞれ1冊くらい読み流した程度で、本の内容も、まして著者の人物把握などonkimoさんほどにできていませんが、(だいたい私レベルの人が多いんでは?)それでもそういったレベルから、このシリーズ、興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。

次回はホッケースティックの予定だとか。楽しみです。
英文で辟易でしたが、先日たまたまそのホッケースティックの話をあるシリーズ記事の中で、しかたなく読みました。あんまり面白くない話でしたが。onkimoさんはご存知かもしれませんが、物好きな他の人がいるかもしれませんのでリンクしときますね。
http://www.guardian.co.uk/environment/2010/feb/09/hockey-stick-graph-ipcc-report
2010.03.09 Tue l daigo -. URL l 編集
Re: はじめまして
mushi さま

はじめまして。お読み頂きありがとうございました。

研究者列伝、読ませて頂きました。私のバカブログより 100 倍役に立つ情報だと思います。どうぞ、書き続けてください。将来は、私が参考にさせて頂くことになると思います。そのときはよろしくお願いします。
2010.03.10 Wed l onkimo -. URL l 編集
Re: No title
daigo さま

いつもお読み頂きありがとうございます。

> 失礼かもしれませんが、ビール片手に、くすくす笑わせてもらいつつ読ませていただきました。M-1にたとえると、ちょっとわかる人にだけわかるネタなので、グランプリにはならず、準優勝って感じですかね。面白かったです。

わかる人がくすっと笑ってくれたらいいなと思って書いているので、うれしいコメントでした。でも、そのうち「鳥人」みたいなネタを懐疑論がらみでできるといいな。

URL ありがとうございました。ホッケースティックシリーズはいつもよりもさらにバカな内容になる予定です。よろしければおつきあいください。
2010.03.10 Wed l onkimo -. URL l 編集

コメントの投稿












       

トラックバック

トラックバックURL
→http://onkimo.blog95.fc2.com/tb.php/89-c8ee3e02
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。