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地球の気候が太陽活動に影響されていると唱えていらっしゃる丸山茂徳さんは、東京工業大学の教授です。著名な地球物理学者であり、固体地球の研究をなさっています。

徳島大学を卒業後、金沢大学を経て、名古屋大学で博士号を取り、その後、スタンフォード大学、富山大学、東京大学を経て、現職に就かれました。御自身の研究分野では大変優れた研究成果をあげています。プリュームテクトニスク *1 というパラダイムを提示し、地殻とマントルの研究に大きなインパクトを与えました。
丸山さんは温暖化懐疑論者として活発に活動しています。2008 年には温暖化懐疑論に関する著書が本が3冊も出版されました *2 。テレビへの露出もあり、近年もっとも活躍している温暖化懐疑論者と言えます。

丸山さんの問題意識の原点は、ホッケースティック論争にあるそうです。*3 Mann のまとめた結果が信頼できないと思ったので調べていくと、近年の地球温暖化が二酸化炭素によらないことに気づきました。*4 近年の温暖化が太陽活動の影響だというのが丸山さんの主張です。太陽活動が活発になると、飛び出す粒子が増え、地球に降り注ぐはずの銀河宇宙線を押し出し、そのせいで大気中にできる雲の核が減って雲が減り、地球により日光が降り注ぐことになって気温が上がる、という説、スベンスマルク説 *5 と呼ばれる説ですが、丸山さんはこの説をベースに温暖化懐疑論を繰り広げています。

ここ 100 年程度の気温の上昇では気候システムを理解することはできない、四十六億年の地球史の観点から気候を学ぶことが必要だ、と丸山さんは言います。地球は過去に全球凍結など大激変を経験してきました。それを理解して初めて、地球温暖化を論じることができるとの持論です。

そして、今後、寒冷化が地球を襲うと予言します。二十世紀に気温が上昇したのは、太陽活動が活発化したせいであり、今後、太陽活動が衰えていくにつれ、気温が下がっていくとの理由からで、寒冷化を予言する大胆さも丸山さんの特色です。

丸山さんは多くの懐疑論者の支持を集めています。支持される理由の一端は、論の雄大さにありそうです。まず、懐疑論のベースになるスベンスマルク説は、宇宙を舞台にする広がりの大きな説です。さらに丸山さんは四十六億年の地球史の理解を要求し、時間方向にも大きな広がりを持たせています。雄大さに加えて、スベンスマルク説を気候学者が完全には否定し切れていないことも支持される理由の一つだと考えられます。

丸山さんは、情熱的に、そして精力的に、温暖化懐疑論を展開しています。突撃力があるという表現がぴったりです。持てる限りの武器を使って温暖化に挑みかかっていくそのパワーは、目を見張るものがあります。

突撃力の一端が現れたのが、アンケートです。2007 年に行われた地球惑星連合学会で、反地球温暖化論のセッションの座長をされたときに、聴衆に向かってアンケートを採られました。セッションの性格上、懐疑論者が多かったわけですが、そこで得られた結果を堂々とタイトルに冠して書かれた著書が、「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」です。その過激なタイトルは、一部で物議を醸しました。*6

攻めるに強い丸山さんですが、受けに回ると弱い一面を持っています。特に江守正多さんの攻撃にはなかなか有効な反撃をするのが難しいようです。江守さんは丸山さんの天敵といえるでしょう。*7

丸山さんと江守さんの対決が、2009 年のエネルギー・資源学会の e-mail 討論の場で行われました。4 人の懐疑論を唱える学者と江守さんの論戦でしたが、他の3人は江守さんの攻撃をかわしたのに対し、丸山さんは真正面から受けて立ち、深手を負われています。*8

この論戦で、江守さんは丸山さんの著書中の太陽活動データについて、二十世紀後半部分に疑念を持ち、データの文献情報を要求します。それに対して丸山さんは明確な回答を避けました。丸山さんの説に沿うような未来予測まで付け加えられていた問題のデータは、強いて文献情報をあげるならば「reference、俺」とせざるを得ないものです。この e-mail 討論は、そのようなデータまで材料にして突き進む丸山さんの突撃力のすばらしさと、脇の甘さが浮き彫りになったエピソードだと言えます。

丸山さんと江守さんは、この e-mail 討論の他に、2009 年にさらに 2 度相対することになります。八月、衆議院選直前の朝まで生テレビの討論 *9 と、12 月に行われた東工大におけるセミナーです *10 。いずれも江守さんが丸山さんの弱点を的確に突き、論戦としては江守さんの快勝という結果に終わっています。特に、東工大におけるセミナーでは、江守さんにアンケートを採られるという強烈な意趣返しを受けています。*11

江守さんの丸山さんへの攻撃は、科学者ならだれもが思いつく論点に対して行われました。論戦に際して準備をしていれば対処可能なはずなのです。ですが、丸山さんは対策を立てるなどと言う姑息なことはしないのです。私は脇の甘さだと思いますが、逆にその堂々としたところが懐疑論者に評価されている部分もあるように思います。

一時、私は丸山さんが江守さんにやられて温暖化問題から足を洗うのではないかと心配したことがありました。でも、それは全くの杞憂でした。丸山さんは変わらずその突撃力を披露されているようです。これからも、ありとあらゆる、どんなおぼつかない証拠でも、自分の脳内データさえも燃料に、持論を引っ提げて突っ走って行くことでしょう。残念ながら、私にはその進む先がどこになるのか予想ができません。

その迫力を、今後も遠くから見守っていきたいと思います。*12

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脚注

*1プリュームテクトニクスについてはこちらの Wikipedia の記事参照。

*2こちらの3冊です。
「地球温暖化対策が日本を滅ぼす」
「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」
「「地球温暖化」論に騙されるな!」

*3ホッケースティック論争についてはこちらの Wikipedia 記事を参照。また、増田耕一さんの解説記事で温暖化研究者の見方が的確に述べられている。最近も、クライメイトゲート事件で話題になった

*4このあたりの経緯はこちらのエネルギー・資源学会の e-mail 討論の中で、丸山さん自身が述べている。

*5 こちらにスベンスマルク説解説のシリーズ記事を書いている。

*6 たとえば安井至さんがこちらで批判している。この批判に対して池田信夫さんがこちらで丸山さんの弁護をしているのがほほえましい。丸山さんを応援するのはいいとして、そこですか?なお、この本については、こちらにて感想文を書いている

*7 丸山さん本人が江守さんを天敵と認めることは無いと思われる

*8 この e-mail 討論についてはこちらのシリーズ記事「丸山さん、がんばって」を参照。

*9 武田邦彦さんとタッグを組んで江守さんと対決。ウェブ上での評判は、丸山さんに批判的なのが多かった。もっと懐疑論側の感想がいっぱいかと思ったが…。これについては、http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090831/1251690233 とその続きの記事 (トラックバックをたどれば出てくる) に、ウェブ上での評判を集めた。

*10 セミナーの案内はこちら


*11 江守さんの意趣返しはやりすぎ。さすがに性格悪かろう。こちらのページを読むと、セミナーに参加した事情を知らない大学生が江守さんにあきれている。ただ、そんな江守さんの性格の悪さは私は好きだ

*12 私の好みを言わせてもらえるならば、5 人の懐疑論者の中でもっとも好きなのは丸山さんである。
タグ 記事:一周年特別企画 はてなブックマーク - 一周年記念特別企画・地球温暖化懐疑論者列伝 (2) 丸山茂徳さん
2010.01.10 Sun l 温暖化懐疑論概論 l COM(4) TB(0) | top ▲

コメント

はじめまして
はじめまして。*11の"こちらのページ"を書いておりまするふぃやです。突然こちらからまとまったアクセスが有ったのでびっくりしてしまいました。
私は東工大に通っていますので、以前から丸山先生の持論を聞いていました。こうだ!と話されるとわりとうっかり信じちゃうタイプなんで自分が怖いんですが、江守さんとのやりとりを聞いて、お互いに弱いところがあるんだろうなぁと思いました。
2010.01.16 Sat l るふぃや AaIT8m4I. URL l 編集
Re: はじめまして
るふぃや様

コメント、ありがとうございます。初めまして、ですかね?

るふぃやさんのブログの記事、大変参考になりました。ふぃやさんの見立てがシンプルにわかりやすく書かれていて、私とは立場が違うみたいですが、とても好感が持てる記事でした。

> 私は東工大に通っていますので、以前から丸山先生の持論を聞いていました。こうだ!と話されるとわりとうっかり信じちゃうタイプなんで自分が怖いんですが、江守さんとのやりとりを聞いて、お互いに弱いところがあるんだろうなぁと思いました。

とりあえず、丸山さんを信じてしまってもいいと思います。是非、丸山さんの持論を詳しく聞いてください。そして、丸山さんが批判している温暖化論者側の意見もしっかり聞いてください。

間違えていたらあとで修正すればいいだけですから。

東工大には丸山さんの他にもすばらしい研究者がいるので、しっかりと目を開いて、耳を澄ませていれば、そのうちいろいろなことがわかってくると思います。温暖化の科学は大学生レベルの知識ではかなり難しいので、ゆっくりと勉強してください。

るふぃやさんみたいな人が気候学に興味を持ってくれたら、そして、気候学の道に進むようなことになったら、私としてはとてもうれしいです。
2010.01.16 Sat l onkimo -. URL l 編集
No title
onkimoさんはいつも、このエントリーでも、やさしいですね。
というよりは、真綿で首を絞めるような感じで面白がるというのがonkimoさんのスタンスかもしれませんが。(笑)

自分は最近丸山さんの「地球温暖化」論に騙されるな!」を図書館から借りて読んでみました。大学者の著書にしては「雑だな~」という感想を持ちました。これは本物のその道の専門家の本を読んだときには決して生じないものです。少し具体的に書いてみます。たとえば、丸山さんはCO2の温室効果についてこう言っています。

「(二酸化炭素は大気中に)0.04%にしかなりません。1万個の分子があったときに、二酸化炭素はそのうち4個しかないということになります。これをppm(100万分の1)で表現すると350ppmとなります。現在二酸化炭素は毎年1ppm程度増えています。100万個の分子の中で、二酸化炭素の分子が毎年1個ずつ増えるからといって、急激に温暖化を進めることにつながるでしょうか?ほとんど影響はないでしょう。これは、普通の科学者にとって常識です。」

常識と思ってるのは丸山さんだけではないですかね。現在二酸化炭素は毎年2ppm程度増えていますが、これ、「100万個の分子の中で、二酸化炭素の分子が毎年2個ずつ増える」からといって無視できないでしょう。なにしろ、1モルの気体中には、標準状態でおよそ6×10^23もの数の分子があるわけで、2ppmといったら約1.2×10^18もの分子数ですよね。その400ppm足らずの気体が温室効果の1.5割前後(?)を担っているとしたらなお、普通の感覚なら、無視できないでしょう。こういう事情は、最大の温室効果ガスである水蒸気にとってみてもさほど変わらないのではないでしょうか。

その他、首をかしげる記述がいっぱいありましたが、一番驚いたのが、エピローグに載っていた一つのグラフです。エピローグにグラフを載せてあれこれ語る姿勢もどうかと思いましたが、まあそれはどうでもいいことです。
そのグラフは、地球への宇宙線の照射量(Δ14C(まま))、太陽の活動度(相対黒点数+オーロラ)、炭素同位体から推定した気温変化(δ13C)の経年変動を重ねて表示したものでしたが、二つのソースが1988年のふっるいものであるにもかかわらず、グラフの時間軸はなんと2070年ごろまであって(!)、三者の(後の2者だったかな?)表示がちゃんとその年代まで示されていました。どう解釈したらいいものか、かなり悩みましたが、結局丸山さんはあまり細部にこだわらない性格の人なんだな、ということで納得するしかありませんでした。(笑)
2010.02.27 Sat l daigo -. URL l 編集
Re: No title
daigo さん、

いつもコメントありがとうございます。

丸山さん、おもしろいですよねぇ。私はその本は立ち読みしかしていませんが、daigo さんご指摘の CO2 濃度の話にしても、2070 年までグラフがある件にしても、いかにもかいてありそうですね。丸山さん、陽気にめちゃくちゃやっている感じで、個人的には大好きです。

あまりお近づきになりたいとは思いませんが。

このエントリーが優しかったとしたら、僕が丸山さんのことを好きだったからかも知れません。

丸山さんには今後も突っ走っていってもらいたいものです、と無責任に煽ってみたりする。
2010.03.02 Tue l onkimo -. URL l 編集

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