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スベンスマルク説の研究、CLOUD や SKY だけではありません。いろんな人が、いろんなことを考える。

フォーブッシュ減少

スベンスマルク説、宇宙線の強さが変わりゃ、雲のでき方も変わる、この説を検証するために、うってつけの現象があるのです。

太陽活動が盛んなときは、太陽表面でいろんなことが起きています。増える黒点が一番目立つ、でもそれだけではありません。たとえばコロナ質量放出。太陽の周りには、百万度にもなるコロナというガスが取り巻いています。太陽活動が弱いとき、コロナも弱く、強いときはコロナも強い。強いときに起こるのがコロナ質量放出です。普段は太陽にとらえられているこのコロナ、たまにぐしゅっと飛び出してくる、まるで太陽のくしゃみみたい。

くしゃみで飛んだ鼻水が、地球の方にもやってきます。その速さ、秒速 500 km!大きさも、地球軌道にとどく頃には地球の大きさの数百倍。その鼻水が地球を包む。
鼻水といっても温度は何十万度、大変高いその温度、中のガスは原子核と電子にとがばらばらで、つまりはプラズマ状態です。つまりは磁場を連れてくる。この磁場が強力で、銀河宇宙線を遮ります。

この宇宙線が減る現象を、フォーブッシュ減少と呼ばれています。英語では Forbush decrease。Forbush event と称されることもあって、こちらも日本語に訳されることがあって、フォーブッシュ現象。あらあら英語は違えども、日本語に訳すと音は同じ。

さて、銀河宇宙線が減るこの現象、スベンスマルク説によると、雲も減るはずです。それではいったいどうなのか?

スベンスマルクはしらべました。それがこちらの論文です。

H Svensmark et al, 2009, Cosmic ray decreases affect atmospheric aerosols and clouds, GRL, 36, L15101

Forbush 現象が起きてから、地球の雲がどう変わるのか?するとおもしろいことがわかりました、フォーブッシュ現象が起こると、宇宙線の減少から遅れること 7 日、観測データを見てみると、雲が大きく減少している。ただ、7 日の遅れはいささか不可思議、SKY 実験によりますと、スベンスマルク説の中での電子の働きは、ほんの数秒で起こります。それなのに、7 日も効果が遅れて現れる。これは一体どういうことか?

スベンスマルクの言うことには、それは硫酸エアロゾルが成長するのにかかる時間。宇宙線作った電子、小さなエアロゾルを作ります。でも、これは小さすぎて雲の核にはなれません。空気中の硫酸を集め、成長するのに時間がかかる。フォーブッシュ減少で、小さなエアロゾルが少なくなった、つまり、雲の核の種が少なくなった、これらは成長して凝結核になっていたはず、その影響で 7 日後の雲が減ったのだと。

さて、読者の皆さんはどう思われたでしょうか?わたしとしては、今の時点ではあまり説得力を感じない、なぜかというと、ことはそう単純ではないからです。スベンスマルクの論文は、そのほかのフォーブッシュ減少を解析しています。この 7 日の遅れが出たのはそのうちの一つだけ。他の減少では、雲が減ったのは 3 日後だったり 5 日後だったりします。なんでそんなにばらつくのか、普段の雲の増減とどう違うのか、私にとってはなぞだらけ。

また、同じ様なデータを使って、相関がなかったよ、と述べている論文も出版されています。

J. E. Kristjansson et al, 2008, Cosmic rays, cloud condensation nuclei and clouds – a reassessment
using MODIS data
, Atmos. Chem. Phys., 8, 7373–7387

こちらの論文、スベンスマルクのものよりも、早く発表されています。当然スベンスマルクも知っていて、introduction に引いてはいますが、二つの論文の結果が矛盾する理由については述べていません。

スベンスマルクのこの論文、レターと呼ばれるタイプです。見つけたことを短い論文にまとめていち早く発表する、そのための論文です。後には当然もっときちんとした、フルペーパーと呼ばれる論文が出てくるはず。その時にはもっと詳しいことが書かれているでしょう。楽しみに待ちたいと思います。

全球大気モデルを使った実験

もう一つこちらで紹介するのは、コンピュータシミュレーションの研究です。

J. R. Pierce and P. J. Adams, 2009, Can cosmic rays affect cloud condensation nuclei by altering new particle formation rates?, GRL, 36, L09820

こちらは、いわゆる全球大気モデルを使った研究。本当はここでモデルとはなんぞや、ということを言わねばなりません。でもそれは手に余るのでご容赦を。

さてさてこの論文、銀河宇宙線の影響を調べています。対流圏 (大気の一番下の層。地上から 10 km くらいの厚さがあり、雲はほとんどこの中でできる) の中の電子、太陽活動に従って、その量が変わります。場所によって違って、太陽活動最大期と最小期で 15 % ~ 30 % くらいの変化、地表に近いところでは、10 % ほどしかかわりません。

これを使って計算してみた、その結果。電子が作る小さな核、その大きさは 1 nm くらい、これがすくすく成長すれば、いずれは大きな雲の核、でもこの時点では雲の核にはなれません。でも最初にとりあえず、電子が作った小さな核で、数を比べてみてみましょう。太陽活動の最大期は最小期に比べて、極の高いところでは 4 倍くらいになるけど、全体的にはその差は 2 倍以下。そして、この核がその後成長します、でも、みんな一斉に成長するわけではありません、大きくなる奴がいれば成長が止まる奴もいる、雲核になれる大きさまで成長した核の数、最小期と最大期の差は 0.004 % しかありませんでした。

計算結果から言えること、地球の大気にほとんど効かぬ、地球に降り注ぐ太陽エネルギー、平均すると 343 W くらい、エアロゾルの結果を基に、宇宙線の影響を見積もってみると、それがたったの 0.005 W、大変小さな値です、二酸化炭素の効果よりもずっとずっと小さい。とてもじゃないけど、スベンスマルク効果は地球の気候に影響を与えられません。

この研究も、レターで発表、このような研究は世界で初めて、いち早く発表する必要があるわけです。こちらの結果もまたフルペーパーを待ちたいです。いやいやそれより、スベンスマルク支持者側もこの手のシミュレーションをするはずです。CLOUD 実験のプロポーザルにもモデルを使った研究について触れていました。ぜひ、全球大気モデルを使った評価を、支持者の側もやってほしい。

そのほかにも否定的な研究はいくつもあって、たとえばこちらの論文です

S. K. Solanki and N. A. Krivova, 2003, Can solar variability explain global warming since 1970? JGR, 108, 1200

宇宙線と温度の関係、昔はともかく、近年の温暖化を全く説明できていない、と書かれています。これは論文を見ていただくより、t0m0_tomo さんのこちらのページにある動画、「地球温暖化頂上決戦:人間?自然?」を見ていただいた方が良いでしょう。7分15秒ころからスベンスマルクの説明が始まります。

ということで、スベンスマルク効果、意外にいろいろな研究がなされています。まだまだ論争は続くでしょう、今後どうなるか、大変楽しみです。

ながながとスベンスマルク説について見て参りました。次回はまとめといたしましょう。
タグ 記事:みんな大好きスベンスマルク はてなブックマーク - みんな大好きスベンスマルク (11) 検証しましょう、スベンスマルク
2009.12.12 Sat l 懐疑論(研究者アホアホ系) l COM(0) TB(0) | top ▲

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