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前回の記事はこちら

SKY 実験

CLOUD が待ちきれないスベンスマルク、コペンハーゲンの地下室で、自説を検証するための実験を始めました。

それについて詳しく書かれているのがこちらの論文です。正直言いますと、私、この論文がよくわかっていません。でも、最善を尽くしましょう。何が行われたかが知りたいだけならこちらがいいかもしれません。

スベンスマルクが作ったのは、7 立方メートルの空気室 (チャンバー)。このチャンバーの中に空気を入れ、さらに、水蒸気や二酸化硫黄、オゾンを入れておく。これに紫外線を当てると化学反応が起きて、硫酸が分子の形で現れる。

スベンスマルク説のポイントの一つは、空気中のイオンが硫酸の分子をまとめて、雲の核になれるような大きさの、硫酸の固まりでできたエアロゾルを作り出す、というところです。宇宙線が作り出したる空気中のイオン、地下室のチャンバーの中にも存在します。エネルギーの大きなミューオンは、空気を抜けて地面を突き抜け、チャンバー内の空気にぶつかって、イオンを作り出すのです。紫外線を当てたとき、発生するのは硫酸分子、これがイオンでまとめられ、エアロゾルが発生する。このエアロゾルを観測します。
せっかくの実験です、いろんな条件を用意したい。放射性物質を用意してイオンを増やし、チャンバーに電圧をかけてイオンを減らし、たくさん実験を行った。

エアロゾル検出器で観測していると、硫酸ができた後からエアロゾルができはじめる。イオンの量によって、6 分から 11 分くらいでエアロゾルが見えてくる。電子の量が多いほど、早くエアロゾルが現れる。

チャンバーの中に電圧をかけて、イオンを取り除いてみる。電圧が低いとイオンが無くなるまで時間がかかる。電圧をどんどん上げてやると、より素早くイオンが無くなる。でも、それでもエアロゾルはできていた。実験結果を解析してわかることは、2 秒以内にイオンは働いて硫酸分子をかき集めている、ということです。

スベンスマルクは結論づけます。この実験からわかったことは、1. 二酸化硫黄、水、オゾンを含む空気からイオンの働きでエアロゾルができる、2. あまり小さなエアロゾルは消えて無くなる可能性が高いのだけど、その心配が無くなるのはだいたい 3 nm くらいの大きさと言われていた。でも、3 nm 以下の小さな粒子でも安定して生き延びられるのがあるみたい。そんな小さな粒子も、硫酸分子を含んでいる、3. エアロゾルができるスピードは空気中のイオンの密度で決まる、4. マイナスの電荷を帯びたイオン (つまり、電子) が大事、5. 3 nm の大きさのエアロゾルができるためには 2 秒以下という短い時間で十分、6. 電子がエアロゾル粒子の上に滞在するのも2秒以下という短い時間。

残念ながら、私にはスベンスマルクの実験からなぜこれだけのことが言えるのか、理解できませんでした。本当は内容についていろいろと論じたいところですが、わからないでは仕方ない、この論文が、出版されるまでに手間取ったらしい、ということを述べるにとどめておきます。どうぞ、みなさん、元論文をお読みになってくださいませ。英語ではありますが。

実験でわかること

さてさて、スベンスマルク説、CLOUD 実験、SKY 実験で何がわかったか?

今のところはまだ、CLOUD 実験の結果は出ていません。一方の SKY 実験、わかったことは、空気中のイオンが、硫酸エアロゾルを作ること。ここで読んだ論文で、議論していたのは、主に 3 nm あたりのエアロゾル、でも、実際に雲の凝結核になるのは、100 nm くらいの凝結核なのです。SKY 実験は、できたてほやほや、小さなエアロゾル、成長しにくいエアロゾル、それがイオンの効果でなんとか、数 nm になることが、できるのですと言っただけ。

スベンスマルク説とは何だろう、もう一度思い出してみると、二次宇宙線のミューオンが、地表付近まで飛んできて、空気の分子を叩き出す、そこで生じた電子達、硫酸粒子をかき集め、成長しますエアロゾル、そのエアロゾルが雲を作る。SKY 実験では、この過程のうちの、ほんの一部が説明されたに過ぎません。

別に SKY 実験を批判しているわけではありません。スベンスマルク説は複雑です。全部を一度に証明するなんて、それは大変難しく、愚の骨頂というものです。一つ一つを解き明かす、その第一歩としての SKY 実験、これはいいことだと思うのです。

スベンスマルク説が証明された?

ところが一方で、スベンスマルク説は実験的に証明された、なんて言ってしまう人がいるのです。たとえば、独自の視点で国際情勢をばさばさ斬るので有名な、田中宇さんのこちらの記事

IPCCでは「20世紀は、地球の工業化で増えた二酸化炭素によって温暖化した」という説が有力だが、スベンスマルクの説だと、20世紀は太陽黒点が多い時期で、宇宙線が少なく、雲の発生が少なかったので、温暖化の傾向になったのだとされる。雲を研究している学者の多くは従来、宇宙線の多寡は雲のできかたに関係ないと主張しており、スベンスマルクの説は否定されていたが、スベンスマルクらは2005年の実験で、宇宙線が水蒸気を巻き込んで水滴をつくることを証明した。

(強調は onkimo)

できれば元記事を読んでください、それを読むと、スベンスマルクの説、この実験で証明されたように読めてしまいます。でも、本当にそうでしょうか?最後の一文、いろんなことが省略されています。本来なら、

スベンスマルクらは2005年の実験で、宇宙線が (作った空気中のイオンが) 水蒸気を (硫酸とオゾンに) 巻き込んで (硫酸のエアロゾルを作ることを実験で示して、そのエアロゾルが凝結核となって) 水滴をつくる (という可能性が否定されない) ことを証明した。

とか書くべきで、スベンスマルク説自体が証明されたとは、まだまだとても言えません。少なくとも CLOUD 実験を待つべきでしょう。

それでは CLOUD 実験の結果がスベンスマルクを支持すればそれでよいのか、というと、そういうわけにはいきません。前の記事を見直してください、CLOUD 実験で証明されること、実は SKY 実験でわかることプラスアルファくらいでしかないのです。CLOUD の中ではいろいろな実験が提案されていますが、スベンスマルク説に関わるのは、実は加速器のビームが作り出したイオンが硫酸エアロゾル作り出すところだけ。これが気候にどう関わるか、とりあえずはモデル、つまり、コンピュータを用いて推測するしかないのです。

本当は、実験なり観測なりで検討したいところです。しかしそれにはお金がかかる、大変長い年月も。もちろん、CLOUD 実験ですばらしい結果が得られれば、そのような研究も行われることになるでしょう。だから、CLOUD 実験、大きな期待がかかっています。

一方で、CLOUD 実験は、そして当然 SKY 実験も、第一歩でしかないのです。これだけでスベンスマルク説が証明された、というのは言い過ぎです。

さて、スベンスマルク説に関しての研究は、CLOUD と SKY だけではありません。ほかにどんなことが言われているか、次の記事で見ていきましょう。
タグ 記事:みんな大好きスベンスマルク はてなブックマーク - みんな大好きスベンスマルク (10) クラウドでスカイ、スベンスマルク(下)
2009.11.19 Thu l 懐疑論(研究者アホアホ系) l COM(3) TB(0) | top ▲

コメント

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.12.08 Tue l . l 編集
Re: お知らせ
12/8 コメント様

情報、ありがとうございました。

そうですか、そんな楽しそうな討論会が…。

東工大は遠くて行けないので、どなたかが参加報告をウェブ上に書かれるのを楽しみにしています。
2009.12.08 Tue l onkimo -. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.12.11 Fri l . l 編集

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