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さてさて、スベンスマルクについていろいろと述べて参りました。ふざけて書いてきましたので、ちょっと説明したりない。これから少しずつ挽回していきましょう。

この後は、スベンスマルクにまつわるいろいろなことを述べていきます。スベンスマルク説のより詳しい説明や、彼のやった、もしくは計画している実験、私がスベンスマルク説に対して抱いている疑問や思い、などなどです。

はじめにスベンスマルク説について、もう一度説明しておきましょう。

スベンスマルク説

そもそもスベンスマルク説とは何か、私にはよくわかりません。ただ、これまで読んできた私には、銀河宇宙線の量と地球の気候との関係を表したものとしてとらえるのが良さそうに思えます。Wikipedia もこの方向で書かれています。

超新星の残骸が生み出す、銀河系中に満ちている高エネルギーの粒子、それが銀河宇宙線です。銀河宇宙線が地球に降り注ぐと、大気の上層、数十キロメートルのところで大気の分子と衝突します。その結果、二次宇宙線が発生する。いろんな粒子が二次宇宙線として生み出されるのですが、そのうちのミューオンが地上に降り注ぎ、大気の分子と相互作用して、電子を生み出します。
一方、雲ができるためには、凝結核が必要です。何種類もある凝結核、スベンスマルク説に関わるのは硫酸粒子、多数の硫酸分子が、水分子を介してくっつき合った固まりです。ただ、どんな硫酸粒子でも凝結核になれるわけではありません。ある程度の大きさが必要です。

さて、大気中で生み出された硫酸は、最初はばらばらの分子です。このままでは凝結核になれません。一つにまとまる必要がある。その手助けをするのが、二次宇宙線ミューオンで、生み出されたる電子です。ミューオンが、空気の分子を叩きます。そこから飛び出た電子が、触媒となって硫酸分子をかき集め、硫酸粒子を作ります。

銀河宇宙線が多く降り注ぐと、その分多数の凝結核ができあがり、雲が多く発生します。ちなみに、雲のできる場所は比較的低層。この低層の雲が、太陽の光を反射し、地上に降り注ぐエネルギーを減ずるのです。日射が弱まった結果、地球の温度が下がる。

銀河宇宙線が多いと温度が下がる。少ないと温度が上がる。これがスベンスマルク説なのです。

さて、なぜスベンスマルク説が地球温暖化に関連して取り上げられるのか?それは、地球に降り注ぐ銀河宇宙線の量が太陽の活動と関係しているからなのです。

太陽活動が強いとき、太陽表面からは多数の荷電粒子が放出されています (太陽風と言います) 。それとともに、磁場もはき出されている。これが、銀河宇宙線を遮る働きをするのです。

ですから、太陽活動が強いと(銀河宇宙線が減って雲が少なくなり日射が増えて) 温度が上がる、弱いと下がる。

ウィルソンの霧箱

ところで、ウェブで流れるスベンスマルク説には変種があります。だいたいは同じなのですが、一カ所だけ違うのです。

一体どこが違うのか?でもその前に、予備知識をお話ししましょう。

ウィルソンの霧箱、ご存知でしょうか?素粒子実験に使われる装置です。

ウィルソン霧箱は、スコットランド人の物理学者、ウィルソンによって考案されました。彼は、雲の実験をしていました。箱の中に水蒸気が過飽和になっている状態を作り出し、どのように雲ができるかを調べていたのです。

箱の中がわずかに過飽和になると霧が、まあ、これが雲という想定なのですが、霧ができる。これは、箱の中に凝結核となるチリがあるから。それでは、どんどん空気をきれいにしていったらどうなるか?霧ができなくなるはずだ、と思って実験をしていたウィルソン、ですが、どれだけ空気をきれいにしても、わずかではありますが霧ができたのです。

なにかおかしい、と思ったウィルソン、予想を立てます、これは、空気中のイオンが凝結核になっているのだと。

彼がいたのはケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所。アーネスト・ラザフォードや J. J. トムソンといった物理学者たちが、当時の最先端の研究を行っていました。そんな中、ウィルソンは当時発見されたばかりの X 線を霧箱に照射してみます。すると、霧の発生が増加するではありませんか。

この過飽和の水蒸気が入った箱は、後に「ウィルソンの霧箱」と呼ばれ、原子物理学の発展に大きな役割を果たすことになります。というのも、飛び込んできた放射線が、その通り道の空気の分子を電離し、それが凝結核となって霧ができる、つまり、霧箱を使えば放射線の軌跡を見ることができるのです。現在は他の装置に取って代わられていますが、霧箱は原子核物理学、もしくは高エネルギー物理学の草創期に、とても大きな役割を果たしました。

この功績によって、ウィルソンには 1927 年のノーベル賞が授与されています。

もう一つのスベンスマルク説

長々と霧箱の話をしましたが、これがウェブ上に流れるもう一つのスベンスマルク説のキーになっています。

もう一つのスベンスマルク説、宇宙線が雲を作る理由を「霧箱と同じ」としています。つまり、二次宇宙線が空気分子から電子をたたき出し、それが硫酸分子を縫い上げて、雲の凝結核に育てていく、という過程を通りません。二次宇宙線が分子を叩いてできたイオンから直接雲ができる、という説明です。

この説明、ウエブで広く見られます。Wikipedia のスベンスマルク効果記事にも、”原理的には霧箱の仕組みを地球大気に当てはめたものであり” と書いてある。まあ、この文言、その後に続く説明と整合性がとれていないのではありますが。

この説を、霧箱版スベンスマルク説と名付けましょう。この説、問題が多いと思います。自然現象を説明するには、ちょっと力不足でしょう。

最大の問題は、このメカニズムで実際の条件下、雲粒を作るのは難しいであろうこと。霧箱の中は、自然界にないくらい、強い過飽和状態になっています。だから、凝結核が一個のイオンでも、雲粒が成長できるのでしょう。でも、自然界での凝結は、説明できなさそうです。ほんのわずかな過飽和で、凝結が起きていますので。

(とはいえ、霧箱の過飽和度がどのくらいか見つけられなかったので私の意見は間違っているかもしれませんが。[11/4 追記 霧箱での過飽和度は数百 % だそうです。ちなみに、自然界では最大でも 1 % くらい。ここで、過飽和度 (%) とは、((空気中の水蒸気量)/(飽和水蒸気量)-1)× 100。つまり、霧箱では空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量の何倍にもなっているということです。普通の空気では 1 % 多いのがせいぜい。])

ほかにも、なぜ低層の雲にだけ影響を与えられるのか、とか、宇宙線の量的にはどうよ、とか、疑問はつきません。硫酸凝結核版スベンスマルク説はこのあたりがクリアできる可能性があることを考えると、説得力に欠ける気がします。

とはいえ、ウェブ上では多くの人が、スベンスマルクについて、「霧箱だよ」と説明しています。私が思うに、その理由は「霧箱」という、物理を学んだ人間なら誰でも知っている実験装置が絡んでいるから。

スベンスマルク説が広く受け入れられているのは、宇宙と気候の関係という雄大さが醸し出す魅力の他に、わかりやすさがあると思います。

「気候は宇宙線によって決まるのだ!」
「それは一体どうしてだい?」
「宇宙線が多いと雲が増え、日射が減って温度が下がる!」
「どうして雲が増えるんだ?」
「霧箱と同じ、原理によって!」
「ああ、霧箱か、なるほどね」

くらいのやりとりで、みんな納得できてしまう。もしこの説明に、霧箱ではなく、硫酸凝結核の話を持ってきたら、多くの人は途中で飽きるはず。

なお、霧箱版を採用する人たちが、スベンスマルクの言うことを、誤解しているのだと、決めつけることはできません。スベンスマルクが最初から、硫酸を経由するメカニズムを唱えていたのか、それとも最初は霧箱を、説明の軸に据えていたのか、そこがわからないためです。

言えるのは、スベンスマルク自身が現在唱えているのは、霧箱版ではないということです。そのほかの研究者についてもまた、霧箱版に基づいて、研究をしている人は、いないように思われます。その理由はやはり、自然を説明する力に、乏しいからだと思います。

二つのスベンスマルク説、わかっていただけたでしょうか?

これからスベンスマルク説の解説記事にに出会ったら、よく見てください、どちらのスベンスマルク説を述べているかを。

次の記事はこちら

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霧箱については、以下のページを参考にしました (ほかにもいろいろと参考にしていますが。)

霧 箱 の は な し ― 放射線の飛跡が見える装置 ―

ウィルソンの「霧箱」、大活躍 -- はんどろやノート

タグ 記事:みんな大好きスベンスマルク はてなブックマーク - みんな大好きスベンスマルク (8) ホントに知ってる?スベンスマルク
2009.10.27 Tue l 懐疑論(研究者アホアホ系) l COM(5) TB(0) | top ▲

コメント

No title
ほぇぇ。
「霧箱」の説明で、そうなるのかも、と思ってしまっていました。
(某大学で、宇宙線説を追っかけている学生さんも、そういう説明をしていたので、そうなんだと思ってたのですが……)

低層の相関がある程度の期間が見られると言うのも、どうなのでしょうね。
外から来る宇宙線であれば、高層・中層のほうが関係性は良さそうなものですが。

むしろ、温度変化によって対流が強くなった結果、低層の雲量が増えた、ともとれそうです。
2009.11.07 Sat l 綾波シンジ -. URL l 編集
Re: No title
綾波様

びっくりでしょ?私もびっくりでした。霧箱版で理解していたので。

ウェブ上にあふれるスベンスマルク支持者で何人の人が正確に現在の彼の意見を把握しているのか?これからスベンスマルクで懐疑論を語っている人のページを見るたびに、にやにやしてしまいそうです。

でも、さすがに研究者は正しく理解していると思いますよ、と書こうと思ったら…

> (某大学で、宇宙線説を追っかけている学生さんも、そういう説明をしていたので、そうなんだと思ってたのですが……)

あいたたたたた、そうなんですか?だめだ、こりゃ。
2009.11.07 Sat l onkimo -. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.11.09 Mon l . l 編集
Re: No title
2009.11.09 Mon コメ様

わたしにも理解不能です。時間の無駄だから放っておけばいいとおもいます。

もちろん、家訓で「男児たるもの、売られた喧嘩は買わねばならぬ」となっている、とか、バトルをエンターテインメントとして行ってブログの集客力を増やす、とかあるなら別ですが…

まあ、いらんことをある記事に追記してみたりしましたが、長く関わるのは人生の無駄ですよ。
2009.11.09 Mon l onkimo -. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.11.10 Tue l . l 編集

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