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先の記事では昔のデータ、検討すれば、たくさんの、スベンスマルク説を支持する証拠が得られました。ただ、昔と言っても百年程度、さらに昔にさかのぼりゃ、もっと出てくるいろんな証拠、何億年もの地球史で、宇宙線と気候が絡んでいた、そんなお話をいたしましょう。

銀河の腕と太陽

過去五億年を調べてみますと、氷が無くなった時代、氷に覆われた時代、これらが何度か繰り返し、現れたようでございます。今のところはこれらの時代、温室効果で説明がつくと思われておりますが、どうも時代が合いません。そこで、スベンスマルクは言うのです、宇宙線で説明できると。

天文学者の言うことにゃ、銀河の周りを巡る太陽、銀河の"腕"に出たり入ったり。銀河の腕とは何かといえば、若い星々の集まるところ、我らの銀河におきまして、これらの腕が何本も、渦状に中心部から伸びてます。腕の中の星々は、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしはありません (天文学的なスケールの話で、人間からすると久しいですが) 。大きな星が死ぬたびに、超新星が爆発します。つまり、腕の中にはたくさんの、宇宙線が充満してるのです。

Svensmark_galaxy.png

過去2億年にわたって、太陽が銀河系の中を動いてきた様子。Svensmark (2007) Fig.9 より


銀河の中の太陽の動き、そして銀河の腕の動きは実は、よくわかっておりません。ですが、だいたい 1 億 4000 万年の周期で、出たり入ったりしているみたい。それをベースに考えて、調べてみました昔の気温、するとあらまあ驚いたことに、似たような周期で地球が凍り、かつ、暖まっていたのです。

驚くべきは中生代、恐竜が栄えた時代です。中生代は暖かい、そう思われておりました。中生代の長さは2億年、この間ずっと暖かだったと言うことは、スベンスマルクの考えと矛盾します。ところがよくよく調べてみると、ジュラ紀から白亜紀初期のオーストラリア、どうも氷河があったみたい。これは何とも心強い。中生代の暖かさ、それはCO2 による温室効果が原因と、多くの人が思っています。だけど温室効果では、氷河を説明できません。逆にスベンスマルクの説では、氷河が存在していた頃は、太陽はケンタウルスの腕 (Scutum - Crux spiral arm) の中、宇宙線が降り注ぎ、寒かったはずなのです、氷河があっても不思議じゃない。


svensmark_past.png

過去、五億年以上にわたる、熱帯域の気温の偏差(℃、赤線、左側の縦軸)と、銀河宇宙線の量(現在を 1 とした比率、青線、右側の縦軸、軸が逆さであることに注意)。暖かい時期を"温室 (hothouse)"、寒い時期を"冷凍室 (icehouse)"と表記。横軸は時間で、単位は 100 万年。また、太陽が滞在している銀河の腕 (spiral arm) の名前を表記。Svensmark (2007) Fig.8 より


銀河の中での太陽の位置は、地球の気候に影響を、宇宙線を介して与えます。これを逆にとらえるならば、地球の生き物は望遠鏡、宇宙線を見ています。浅い海の生き物は、海面温度に影響される、温度の変化で変わるのは、取り込む酸素の同位体、温度が低いと普段より、重い酸素を取り込みます。化石の中の酸素を並べりゃ海面温度の変化がわかり、つまりは地球の気候の変化、宇宙線の変化になるのです。

そうやって調べると、見つかるのは 3400 万年周期の変動です。これは思うに太陽が、銀河の厚さの方向に、行ったり来たりした周期、銀河の面に近いとき、もっとも強い宇宙線、銀河の面から遠ざかりゃ、少なくなるのが宇宙線、これが見えているのです。

腕の中を通ったり、厚み方向に動いたり、太陽は銀河の中を動きます。ところがところがこの動き、我らが暮らす星なのに、意外に測るのが難しい。天文学者は努力して、いろいろ調べてみたものの、まだまだ結果は曖昧だ。だけど気候を見てみたら、一体太陽がどこにいたか、昔のことがよくわかる。これで太陽の動きを調べりゃ、とても詳しい結果が得られ、銀河のことがよくわかる、天文学者も大喜び。

スノーボールアースと、暗い太陽のパラドックス

もっとおもしろいことがあるのです。過去に地球は氷に包まれた、スノーボールアース (Wikipeida によるスノーボールアースの説明はこちら) と呼ばれています。スノーボールアースに比べたら、氷河期なんてかわいいもので、この時期の地球の表面は、北極南極から赤道まで、すべて氷に覆われて、白く輝いておりました。信じられないような大異変、でもこの原因も、調べてみると、やはり、宇宙線だったのです。

地球はその生涯で、二回のスノーボールアースを経験しています。最初は二十三億年前、二度目は 7 億年前、地球は氷に包まれます。二十三億年前の凍結は、どうして起こったのかというと、お隣の銀河の大マゼラン雲が、近くを通り過ぎたから。その衝撃で、銀河系に、多くの星が生まれます。やがて起こるは超新星、宇宙線をたくさん出して、その宇宙線が雨あられ、地球の上に降り注ぐ。すると、雲が地球を覆ってしまい、地表に届かぬ太陽光、やがて地球は凍り付き、スノーボールアースとなるのです。七億年前にも同様に、超新星がたくさん生まれた模様、なんと、スノーボールアースは宇宙線で説明できてしまうのです。

さらにさらにおもしろいことが。

昔々のその昔、今を去ること 40 億年前、太陽は若かった。若い太陽は今より暗く、地球も寒かったはずなのです。どれだけ寒かったかというと、いまより 25 度ほども。こんなに温度が低くては、地球は凍っていたはずです。ところがそのころの岩石を調べてみたら、水の証拠が見つかります。これは「暗い太陽のパラドックス」と呼ばれてまして、ここ 30 年にわたってなぞでした。

ところで若い太陽は、表面で激しい太陽活動、がんがん磁場をはき出して、これが銀河宇宙線を寄せ付けず、つまり、雲を作るのを妨げます。今の地球のアルベドは (アルベドとは、地球が太陽光を反射する割合)、だいたい 30 % です。一方、昔の太陽の明るさは、今より 30 % 少なかったのです。もしも雲が無くなれば、その分日光が降り注ぎ、この 3 割をカバーできそうです。今現在はこのパラドックス、温室効果で説明される、けれども宇宙線で考えりゃ、もっとすっきり説明できる。

今後の展開

かようにスベンスマルク説、これまでなぞと考えられた、地球の気候のいろいろなことを、一刀両断に解き明かす、とてもすばらしい説なのです。

さらに発展するこの説、CERN での実験が行われたあかつきには、もっと精密になるでしょう。また、地球の気候の予測には、太陽活動が重要です。太陽を詳しく観測すれば、今後の気候の変化がわかる。そのためにももっと理論を精密にさせなければなりません。

そしてスベンスマルク説、宇宙生物学にも適用できるでしょう。過去の地球が教えることは、大きな気候の変動が、宇宙線によって繰り返されたこと。もしも他の恒星の、周りを回る惑星に、地球に似た天体があったなら、そこで生命が生まれるか?今まで重視されたのは、恒星のあかるさと、恒星からの距離だけでした。でも、スベンスマルクの説に依れば、どのように宇宙線が降り注いでくるかも重要で、惑星の気候に大きく関わる。

だから、宇宙生物学にも、新しい視点が必要です。そして、私たちが地球で生きているということを、もう一度考え直してみることが必要でしょう。いかにそれが幸運なことか、ということを。


次の記事はこちら

先の記事でも書きましたが、あらためて注意書き。

この記事で書いたことは私の考えではありません。こちらの論文

Henrik Svensmark, 2007, "Cosmoclimatology: a new theory emerges", Astronomy & Geophysics vol 48, 2007, pp 1.18-1.24

の内容を、私なりに解釈して書いたことです。

記事にするに当たり、論文の内容をはしょったり説明を追加したりしています。正確なことは、原文をお読みください。英語で大変ですが…

タグ 記事:みんな大好きスベンスマルク はてなブックマーク - みんな大好きスベンスマルク (7) 何を言ったかスベンスマルク (下)
2009.10.20 Tue l 懐疑論(研究者アホアホ系) l COM(0) TB(0) | top ▲

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