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スベンスマルクを知るために、最初に話すは宇宙線、宇宙の果てから飛んでくる、ちっちゃいけれども荒々しい、とてもとっても不思議な粒子、そのお話をいたします。

ここは地球を何千里、いやいや何千何万光年、遠い宇宙のお話です。遠いとはいえ宇宙の話、所詮は同じ銀河の中の、重くて明るいお星様、太くて短いその生涯、いよいよ最後の時が来た、大爆発を起こします。

これがいわゆる超新星の大爆発、壊れた星の残骸は、大変温度の高いガス、四方八方に飛び散って、銀河の中を動きます。

場所は変わって銀河の中の、とある星間ガスの中、そこにくらすは一個の陽子、名前をヨウコと申します。ガスの中では平和な毎日、遠くにきらめく星々を、日がな一日眺めつつ、周りの家族と語らいながら、楽しく暮らしておりました。
そこに突然やってきた、信じられない大破局、超新星の残骸が、ヨウコをはじき飛ばすのです。

説明しましょう。宇宙線とは、エネルギーの高い粒子、別の言い方をすれば、光の速さに近いスピードで宇宙をかっ飛んでいる粒子です。主に、陽子、という粒子からなっています(陽子は中性子と一緒に原子核を構成しています。また、もっとも軽い元素である水素の原子は、普通、1 個の陽子からできています)。

エネルギーが高い、と言いましたが、すごいものです。地球の基準では信じられないほど高く、最高のエネルギーの粒子は、現在の最大の加速器 (ヨーロッパにある LHC)で得られるエネルギーの百万倍くらいのエネルギーを持っているらしいのです。スベンスマルク理論に出てくるタイプの宇宙線(銀河宇宙線とよびます)はそんな最高レベルのものよりは劣るのですが、それでも LHC が作り出すレベルのエネルギーは持っている。

どうしてそんなに高いエネルギーを持っているのか、という理由については、超新星が爆発した後の残骸が、宇宙を漂う陽子をけっ飛ばしてエネルギーを与えている、という説が有力です。

超新星残骸は、高温のプラズマと、それと一緒に動く磁場からなっています。(プラズマ、というのは、原子核と電子がばらばらになった状態。原子核と電子は、それぞれプラスとマイナスの電荷を持っています。電荷を持つ物質と磁場は、宇宙的なスケールでは通常一緒に動きます)残骸中の強い磁場が、とある条件の下、とある複雑なメカニズムで星間ガス中の陽子をほとんど光速になるまで加速し、それが銀河宇宙線となるのです。


仲良く暮らした親兄弟、瞬時に消えゆくその姿、生木を裂くよな今生の別れ、飛んでいきます光の速度、ヨウコはもはや帰れません。ひとりぼっちの宇宙の旅路、さめざめ嘆くそのうちに、やけのやんぱち捨て鉢で、

私嫌だわこの銀河、二度と戻らぬこんなとこ、超新星の残骸などと、再び遭わずにすむように、宇宙の果てに行きますの。

遠くを目指して飛ぶヨウコ、そうはさせじと企むは、銀河親分、この銀河の主です。手から放つは磁力線、銀河を取り巻く磁力の糸が、ヨウコの体に降りかかり、粘りまとわりつくのです。

いやよいやいやここから出して、ちんけな銀河にゃ嫌気がさした

ならぬならぬぞ、逃がさぬぞ、

親兄弟と引き裂かれ、私にゃ帰る場所がない、このまま遠くへ行かせておくれ

そうはできぬがお前の運命(さだめ)、この銀河で一生暮らすのじゃ

あれま私を包み込む、蜘蛛の巣の様な磁力線、私をとらえて放さない、どうして行かせてくれないの?

どんなに激しく暴れても、結局銀河の親分の、大きな手のひらその上で、じたばたするのが精一杯、所詮ヨウコは籠の鳥、一生銀河系に縛られて、生きてくことになりました。



先ほど、磁場とプラズマが一緒に動く、と述べました。もうすこし説明しましょう。かなり荒っぽい説明ですが。

中学校の時に、フレミングの左手の法則、と言うものを習ったと思います。おぼえてますか?中指が電流の流れる方向、人差し指が磁場(磁界)の指す向き(N極から S 極へ向かう向き)だとしたら、電流にかかる力のかかる方向は親指の指す方向、と言うものでした。

陽子はプラスに帯電した粒子です。帯電した粒子が動く、ということは、実は電流が流れる、ということなのです。陽子が磁場の中を動くと、進行方向と垂直な力を受けることになります。するとどうなるか。力の向きは、磁場と垂直でもあるので、陽子は磁場にまとわりつくように動くことになります。磁力線(磁場の向きをつなげて作った、仮想的な線)にそった方向には動けるけど、磁場を横切る方向に動こうとすると、次第次第に曲げられるからです。

銀河には非常に弱い磁場があります。その大きさは、数マイクロガウスくらい、といってもよくわからないですね。1 マイクロガウスは百万分の 1 ガウス。肩こり用のピップエレキバンが強い奴だと 1800 ガウス、地球の磁場は Wikipedia によると 0.24 - 0.66 ガウスくらいですので、銀河の磁場はそれらに比べるととっても弱い。

磁場が弱いので、宇宙線の陽子にかかる力も弱くなります。そのうえ、宇宙線はすごい勢いでかっとんでるので、曲がるまでに大変な距離が必要です。たとえば、何兆 km とか、そんな距離。でも、銀河はとても大きいので、ほんの短い距離とも言えるでしょう。

磁力線が開いていて宇宙の端までつながっていれば、宇宙線が宇宙の果てまで逃げていくことができるのですが、銀河の中の N 極から S 極に向かっているので、ほとんどの磁力線は閉じていています。宇宙線はそんな磁力線から (銀河的なスケールでは) すこしだけしか離れられないので、銀河の中に閉じこめられています。もちろんわずかな漏れはありますが、宇宙線のほとんどは銀河の中で一生を過ごすことになります。

一方で、電流は磁場を生み出します。帯電した粒子が動くということは、つまり電流が流れる、ということで、それが磁場を生み出します。電磁流体力学のいうことには、ある条件の下では、粒子の流れによって生み出された磁場と元の磁場をたし合わせた、新たな磁場を考えると、まるで磁力線と物体が一緒になって動いているように見えるのです。不思議ですね。




ヨウコはさまよう数万年、いやいや実は数億年、光の速度で飛ぶうちに、やってきました銀河のはずれ、その行く先に見えるのは、明るく輝く小さな恒星、その名も太陽と申します。

一寸の虫にも五分の魂、小さな星にも意地がある、ぎらぎら光るその表面から周りに放つは太陽風、磁場とプラズマ飛ばしつつ、星間ガスを押しのけて、おいらの縄張りと主張する。

強く吹き付ける太陽風、いやいやそんな妨害は、光速でかっ飛ぶヨウコにゃ効かぬ、向かい風にも逆らって、飛んできました太陽の近く、そこにあるのは青い星、名前を地球と申します、

ヨウコは飛び込む地球の大気、目指すは地球のその表面、光の速度でつっ走りゃ、前に飛び出す窒素の原子、注意一秒けが一生、ヨウコは急に止まれない、あっという間もあればこそ、派手にぶつかる大気の天辺(てっぺん)、原子核をば引き裂いて、その一生を閉じるのでありました。

太陽の表面からは、太陽風というものが吹いています。太陽風というのは、表面の爆発などで太陽から飛び出したプラズマ。地球でオーロラを発生させているのもこの太陽風ですね。この部分の説明は、Wikipedia の記事を参考に書いています。

この太陽風が、太陽から離れた冥王星(もう惑星とは呼べなくなりましたね…)よりもずっと遠くまで吹いていって、銀河の星間物質を押しのけています。太陽風が星間物質と混ざり合うあたりが「ヘリオポーズ」とよばれ、太陽系の端となります。

太陽風は銀河宇宙線をも押しのけています。銀河宇宙線は生命にとって危険なので、太陽風のおかげで我々が生きていられる、という風にも考えられるのです。

でも、そんな太陽風をすり抜ける銀河宇宙線も少しはあって、地球で観測されているのです。そして、太陽活動が盛んなときには、ちゃんと銀河宇宙線が減るとのこと。これがスベンスマルク説の一つの要素になるのです。

宇宙線、ヨウコの生涯、これにて一巻の終わり…



ヨウコの生涯は終われども、まだまだ終わらぬ宇宙線の話、次回はヨウコがぶつかった原子核のその後の物語です。
タグ 記事:みんな大好きスベンスマルク はてなブックマーク - みんな大好きスベンスマルク (2) 宇宙線だよスベンスマルク (上)
2009.08.26 Wed l 懐疑論(研究者アホアホ系) l COM(0) TB(0) | top ▲

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