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前の記事ではエネルギー・資源学会の e-mail 討論を全般的に眺めて参りました。エネルギー・資源学会のホームページからたどっていきますと、この討論の記事にたどり着くことができますので、ご参照くださいませ。討論は、学会誌の一月号と三月号に掲載された模様でございます。一月号の本文はこちら、三月号はこちらから入手できます。

この記事では、丸山さんと江守さんの論戦を見ることにいたしましょう。

まず最初に、論戦を見る予備知識として、丸山さんの温暖化懐疑論について、簡単に述べたく存じます。

丸山さんの温暖化懐疑論

丸山さんの論は、地球の気候変化は太陽活動に支配されている、というお立場に立っておられます。なぜ、太陽活動と地球の気温が関係するのでしょうか?太陽活動が強いと、遠い宇宙からやってくる宇宙線を防ぐ効果があるそうでございます。宇宙線は、大気の中の物質と衝突して雲の核になる物質をたくさん作り、そのせいで雲が多くなって太陽の光を遮り、地球を冷やす効果が指摘されていまして、太陽活動が強いと宇宙線がはじき飛ばされ、雲が減り、地球が温暖化することになるのでございます。この、一見、風が吹くと桶屋が儲かる的にもみえます仕組みはスベンスマルク効果と呼ばれておりまして、一部で盛んに研究されているのでございます。このブログでもいつか取り上げることにいたしましょう。

一方でCO2 はと申しますと、丸山さんは、CO2 の増加は温暖化の原因ではなく結果だというお立場。以前、槌田敦さんの、地球が温暖化すれば海が暖まってヘンリーの法則により CO2 が放出される、などというとんでもない理論に引っかかってしまった人たちをこのブログで紹介いたしましたが、丸山さんもそのお一人でございました。さすがにもう気づかれていらっしゃるようで、この討論では海が CO2 を出す話は全く出て参りませんでしたが、それでも CO2 の影響は小さい、というご意見は変えられていない模様です。

江守さんの先手攻撃

それでは、あらためて江守さんと丸山さんの戦いを見て参りましょう。

なお、e-mail 討論は、各論者がまとまった記事を書きながら議論を進めていく形式を取ってございました。しかし、丸山さんと江守さんの討論については、途中からお二人の e-mail のやりとりがそのまま掲載されてございます。臨場感があってよろしいのではございますが、いささか飛躍があったり言葉がたりなかったりと、読みにくくなっております。そこで、以下の文章では、適宜、議論の順番を変えたり言葉を補ったりしております。元の議論の骨組みを損ねないように注意は払いましたが、それでもこの文章には私の解釈が含まれており、本来の討論をゆがめて伝えている可能性がございますので、是非とももとの議論を確認していただきたいと思います。

先手は江守さんでございました。

丸山さんは、これまで執筆された御著書の中で、過去、1000 年ほどの太陽活動のデータをお示しになり、屋久杉の年輪から調べた気温の変化と比べることで、地球の気温と太陽活動が強くリンクしている、ということを強く主張してこられました。江守さんは、丸山さんの御著書に示された太陽活動のデータに疑問を投げかけたのでございます。ぜひとも、こちら、e-mail 討論の江守さん資料 4,1 に掲載されております図を見てください。

丸山さんの御著書 3 冊には、二つのタイプの太陽活動のデータが載せられておりました。江守さん資料、図 4.1.1-3(a) に取り上げられているタイプのデータでは、1990 年代まで太陽活動が強く、2000 年になって衰えていく、となっております。二十世紀の終わりに気温が高くなったのは、太陽活動が強くなったせいだ、CO2 は関係ない、と、丸山さんはこの図を使って地球温暖化説をご批判なさっておられました。一方、もう一つの、図 4.1.1-3(b) では 1990 年代にから太陽活動が衰えており、これでは20 世紀後半の気温上昇をうまく説明できません。

そうです。丸山さんの御著書には、相矛盾する二つの太陽活動の図が載せられていたのでございます。そして、江守さんによると、権威ある太陽活動のデータでございます、ベルギー王立天文台のデータは図4.1.1-3 (c) であり、こちらは図 4.1.1-3(b) と同じとのこと。

つまり、正しいと思われる図 (b)は丸山さんの御説と相容れず、怪しい図 (a) でしか丸山さんの御説を説明できないとのこと。

「丸山さんの本の太陽活動のデータって、まじちょっと怪しいんだけどw。これってどこからもってきたの?ちゃんと出典を明示できるかなwww」

というような感じで江守さんは初手を打たれました。

もちろん、江守さんは、丸山さんが太陽活動のデータをねつ造している、ということをほのめかしている訳ですから、大変失礼なことをなさっています。しかしながら、丸山さんにとって対応はまったく容易でございまして、誰それが何年に何という雑誌の何号に書いた、これこれというタイトルの論文に出ている、といったような、文献情報を示せば良いだけなのでございます。

さりながら、丸山さんにはこれができなかった。

それもそのはずl、怪しい (a) の図は、丸山さんの心に渦巻く情念が紙の上に像を結んだ、いわば「念写」なのでございます。過去はともかく、20 世紀後半から未来にかけての図は、決して信頼できる参考資料から採用したわけではございません。強いて文献情報をあげるとなると、「レファレンス、俺」とせざるを得ないでしょう。

もちろん、(a) 図の載っているような本は、科学的な文面というよりは丸山さんの所信表明演説でございまして、載っている図は、科学的事実を越えた信念なのでございますから、これでよいのでございます。もとより、文献情報など求める方が間違っているのでありますが、残念ながら、学会誌の科学討論の場、そんな言い訳はできません。まことに江守さんは嫌らしいところを突かれています。

丸山さんは、説明されました。

「私が出したデータソースは KirbyKirkby たちがまとめたもので1600 年代、天体望遠鏡ができてから 3 年後から蓄積された歴史のあるものであっておもにこのデータを用いたが、そのほか、東大の吉村さんのデータも入れていてそれは彼が心血を注いでまとめたデータだからで、1960 年以降のものは、Web でも手に入るが、重要なのは昔の記録なんだけど 1600 年以前直接観測がないからオーロラの記録のような古文書を動員しないといけなくて、Eddy がそれに一生を費やしたように信頼できるのだけど(木の)年輪の炭素やベリリウムの同位体の方が定量的でこれを引用したのだけど北大名誉教授で古気候学者の小泉さんも同意見だから門外漢の人には朝倉書店のシリーズ「文明と環境」15巻が便利でしょう」

元の文章を読んでいただければわかりますが、長いだけで、文献情報にはたどり着けない仕組みなっております。もちろん江守さんはご不満。

「なんか、質問に答えてくれないんだけど。
 丸山さんの言っている KirbyKirkby たちのは、標準的な黒点データと一緒のやつだよ。それはいいから、もう一つの図4.1.1-3 (a) 、つまり、へんてこな方について聞きたいんだけど。昔のデータならともかく、ちゃんとしたデータがそろっている1990 年以降が違うって、おかしくね?この変なグラフ、東大の吉村さんって人が作ったってことでいいのかなwww」

将を射んと欲すればまず馬を射よ、とばかりに、江守さんは疑惑の矛先を吉村さんに向けて丸山さんの反応を窺います。盟友をかばって説明を加えようものなら、二の矢を放つ気満々です。丸山さん、ピンチでございます。果たして、運命や、如何に!

気の小さな私はどきどきしながら本文を読み進めておりした。ところが、丸山さんは

「先日のデータが私の送った最善のものだ」

と、あっさりと話を切り上げてしまわれてございます。私には何が起きたのか皆目見当がつきませんでしたが、ともあれ、江守さんの攻撃をかわされました。まことにお見事でございます。

ただ、吉村さんはたまったものではございません。彼のためにに疑惑の図 4.1.1-3(a) をどのように作ったか説明すべきなのでございますが、そうはなさいませんでした。丸山さんは、吉村さんを切り捨てるという冷徹な判断をなされたのでございます。これが、泣いて馬謖を斬るということでございましょうか、はたまた、一将功成りて万骨枯る、ということでございましょうか?ちがいますかそうですか。

とにかく、哀れ、吉村さん、東大で長年太陽について研究されているきちんとした天文学者なのですが、ここでは黒点の数も数えられないどこぞの人として読者の記憶にとどまることになったのでございした。合掌。

まだまだ戦いは続きますが、長くなりましたので、残りは次の記事にしたいと思います。

タグ 記事:丸山茂徳さんがんばって
タグ 記事:丸山茂徳さんがんばって はてなブックマーク - 丸山茂徳さん、がんばって!(2)
2009.06.05 Fri l 温暖化懐疑論概論 l COM(13) TB(0) | top ▲

コメント

No title
吉村さんの名誉の為にフォローしておきますと……(笑)

「吉村サイクル」では、当時観測出来たであろう太陽活動周期22までしか書いてないですし、ピークの高さも、ピークの数も丸山さんの図とは違って、Kirby(正しくは江守さんの示す「Kirkby」)のデータに近いものです。

onkimoさんのように、なかなか軽快にはかけませんが(笑)
2009.10.23 Fri l 綾波シンジ -. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.10.23 Fri l . l 編集
Re: No title
綾波様

コメントありがとうございます。

> 吉村さんの名誉の為にフォローしておきますと……(笑)

丸山さんの代わりにフォローしていただいてありがとうございます (笑)

> 「吉村サイクル」では、当時観測出来たであろう太陽活動周期22までしか書いてないですし、ピークの高さも、ピークの数も丸山さんの図とは違って、Kirby(正しくは江守さんの示す「Kirkby」)のデータに近いものです。

あいたたた、Kirkby ですね…。やってしまいました…。ご指摘ありがとうございました。本文修正いたしました。

「吉村サイクル」の説明、ありがとうございました。吉村さんが何を示していたのかまでは当たっていなかったので、大変参考になりました。

> onkimoさんのように、なかなか軽快にはかけませんが(笑)

いえいえ、大変参考になりました。綾波さんのブログも参考にさせていただいています。
2009.10.25 Sun l onkimo -. URL l 編集
Re: No title
2009.10.23 Fri コメント様

私のプロフィールは、はてなの方にやや詳しく書いています。

「温暖化の気持ち」を書く気持ち
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/

のプロフィールを参照してください。あまり参考にならないかも知れませんが。
2009.10.25 Sun l onkimo -. URL l 編集
No title
>あいたたた、Kirkby ですね…。

丸山さんがエネ資で「Kirby」と書いていますので、onkimoさんの間違いでは無いですね(笑)。
ほぼそのままメールをコピペしている以上、編集の間違いでも無い。

どの段階で間違ったのでしょうね。丸山さんが孫引きした資料で間違っていたのか、丸山さんが引用で間違ったのか……。
2009.10.27 Tue l 綾波シンジ -. URL l 編集
Re: No title
> >あいたたた、Kirkby ですね…。
>
> 丸山さんがエネ資で「Kirby」と書いていますので、onkimoさんの間違いでは無いですね(笑)。
> ほぼそのままメールをコピペしている以上、編集の間違いでも無い。

そうだったのか…。

まあ、それでも私の間違いなので、以後気をつけます。

今回の教訓は、丸山さんの言ったことはちゃんと裏を取らなければならない、ということですかね。

いえ、すでに知ってましたが…
2009.10.27 Tue l onkimo -. URL l 編集
No title
なんというか、丸山さんと真っ向から議論をしようと突撃しようとしても、周りにいっぱい地雷が埋められてて、それに手こずる感じですよね。

「原典をたどれないトラップ」がありーの、「グラフが程よく歪んでますデコイ」がありーの。ゲリラ戦の相手としては非常に手強い敵です。

その点、武田さんは、悪い考察の見本か?というくらい論理不整合が非常に顕著で、楽ですね。原典のデータもほとんどまともなのがないのも、丸見えになっている地雷のようでわかりやすいです。
2009.10.30 Fri l 綾波シンジ -. URL l 編集
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.10.30 Fri l . l 編集
Re: No title
綾波様

> なんというか、丸山さんと真っ向から議論をしようと突撃しようとしても、周りにいっぱい地雷が埋められてて、それに手こずる感じですよね。
>
> 「原典をたどれないトラップ」がありーの、「グラフが程よく歪んでますデコイ」がありーの。ゲリラ戦の相手としては非常に手強い敵です。

丸山さん、東工大の教授なのにどうしてこういうことやらかしちゃうんでしょうかねぇ。わざとじゃないと思うんですよ。仕掛けられてる地雷も、なんていうか、天然な感じ。

個人的には丸山さん、好きなんですよ。一生懸命持論を主張されるところとか、なんかかわいげがあって。

どこかにも書きましたけど、末永く温暖化に関わってほしいなと思っています。おもしろいから。

でも、温暖化を専門に研究している人たちからみると、目障りなんだろうな~。

> その点、武田さんは、悪い考察の見本か?というくらい論理不整合が非常に顕著で、楽ですね。原典のデータもほとんどまともなのがないのも、丸見えになっている地雷のようでわかりやすいです。

論理不整合、その通り。でも、斜め読みするとけっこう気づかずに読めちゃうんですよねぇ。それで満足してしまう人も現実には多いのが、なんというか…。
2009.10.30 Fri l onkimo -. URL l 編集
Re: No title
2009.10.30 Fri コメント様

茶番ではありませんよ。私のこと買いかぶりすぎです。

もうすこしくわしくお返事しようとおもいますが、どうすればいいかな?そちらのブログにコメントしましょうか?
2009.10.30 Fri l onkimo -. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009.10.30 Fri l . l 編集
Re: No title
2009.10.30 Fri コメント様

すみません、メールでのやりとりは勘弁していただけないでしょうか。

onkimo の活動はできるだけこの fc2 のブログとはてなのブクマ、日記で閉じさせておくつもりでいます。もしかしたらそのうちポリシーを変えるかも知れませんが、当面は onkimo のメアドを作る予定もありません。

ごめんなさいね。別な形で返事します。

2009.11.01 Sun l onkimo -. URL l 編集
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2009.11.07 Sat l . l 編集

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