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IPCC の成り立ち

以前、異文化コミュニケーションをうたった英会話学校の CMがありました。イタリア人が日本語をしゃべっていたり、おばちゃんがイタリア語をしゃべっていたり、果ては宇宙人が関西弁をしゃべっていたり。

IPCC も、実は異文化コミュニケーションの問題に直面しています。前の記事で、IPCC の内部事情のせいで、very likely に 90 % から 99 % なんていう数字を定義している、と書きました。その内部事情、というのが、これなのです。

異文化コミュニケーション。どういうことか。

IPCC がどんな組織か、詳しくはまたいつか話したいと思いますが、簡単に説明しておきましょう。

そもそも、IPCC というのは、(Intergovernmental Panel on Climate Change) の頭文字。日本語に訳すと、「気候変動に関する政府間パネル」ということになります。これについては、Wikipedia のページがそれなりにまとまってますね。世界中から人をあつめて、これまでに発表された学術論文をはじめとする文献を精査し、議論を重ね、報告書を作成する機関です。

IPCC の下には、3 つの作業部会があります。WG1 (作業部会は Working Group, 略して WG と言われます。第一作業部会は、WG1 と略される)は、地球温暖化の科学的な側面を、WG2 は、気候変動の、生態系や社会経済システムへの影響を、WG3 は、温室効果ガスの排出抑制など、気候変動を抑え込むための対策を議論するところ。そして、最後にこれらの成果がまとめられて報告書になります。

つまり、IPCC に集うのは、自然科学者だけではありません。経済学者、社会学者や、官僚、政治家などの文系の人たちもいるのです。

議論は英語でなされるのですが、それだけで話がスムースに通じるわけではありません。理系の学者と文系の学者、それに、学者と政府関係者のあいだには、考え方のちがい、普段使う言葉の違いがあるのです。それは、つまり、異文化コミュニケーション。

気候学者の悩み

さて、IPCC で自然科学者たちに求められていることは何でしょうか?

自然科学者が所属しているのは、おもに WG1。地球温暖化対策のベースになる、科学的な根拠を示すことが求められています。温暖化の対策を立てようにも、CO2 を出し続けたらどのくらい地球の気温が上がるか、とか、メタンを出すと、温室効果にどのような影響が出るか、とか。そういったことを知らずに、闇雲に対策を立てるわけにはいきません。

だから、IPCC に参加している、社会科学者や官僚、政治家は、自然科学者に聞くわけです。たとえば、もっとも根本的なことを聞くわけです。

「最近の地球温暖化は人間が出した CO2 のせいだよね?」と。これを認めないと話が始まりません。

ところが、自然科学者は、すんなり、うん、とは言いません。なにかごにょごにょと訳の分からないことを言っている。

自然科学者、ここでは気候に関わる研究をしている人たちのことを述べるので、以下では気候学者、と書きますが、彼らの考えていることはこうです。まあ、いろんな人がいるので、これから書くのは、私の脳内の気候学者が考えたことなわけですが。

………CO2 みたいな温室効果ガスが増えると、地球が温暖化するのは、まあ、当たり前。でも、確定的なことはなかなか言いにくいなぁ。CO2 が増えると温室効果が増える、というのは、1950 年代の研究でだいたい決着しているから、ほとんど確実。でも、その他の効果が微妙だからなぁ。雲が日を遮るとか、ねぇ………

ということで、気候学者は社会科学者たちにこんな風に答える。

「確かに人間が出した CO2 が原因っぽいけど、ほかにもいろいろ考えないといけないことがあるからねぇ。よくわかんないよ。」

これじゃあ話になりません。そもそも、気候学者は人為起源の温暖化が問題だと、かなりの確信があったはずで、それで政治家たちが動き始めたわけです。ところが、気候学者はうにゃうにゃと言を左右にして、確かなことを言わない。

「ゴルァ、いい加減にせーよ。テメーが言ったからみんなで騒いでるわけじゃねーか。グダグダ言ってないで、はっきりしろ!」

と言うわけです。気候学者は、仕方なく考えます。

………そんなこと言われても困るよなぁ、わかんないものはわかんないし。だいたい、現在の温度上昇に関係ありそうなことを全部把握しているわけでもないし、把握している要因も、相乗効果とかあったりして…。論理の積み重ねじゃ分からないから、実験できればいいけど、でもねぇ。あらたに地球を作るわけにも行かないし………

数学のような確実な論理の積み重ねで結論を導くこともできないし、コントロールされた環境下で地球が温暖化するかどうかの実験ができるわけでもありません。そこで、観測とコンピュータ・シミュレーションを駆使して一生懸命調べることになります。結果は、予想通り、人間活動の影響で温度上昇が起きていることを強く示している。とても、人間活動が影響していない、なんて結論を引き出すことができない。

でも、それだけの証拠では、社会科学者たちに向かって能天気に「温暖化は人間のせいだよ」と断言するわけにはいきません。

気候学者は、心の中では人間の出した CO2 が地球温暖化の原因になっていることを確信しています。だけど、自然科学者としては、手持ちの証拠から断言することはできない。どうしましょう。

あまりにも記事が長くなったので、一旦ここで切ります。次回に続く。

タグ 記事:IPCCと断言
タグ 記事:IPCCと断言 はてなブックマーク - 異文化コミュニケーション?
2009.05.10 Sun l 温暖化懐疑論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

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