上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
はてなブックマーク - スポンサーサイト
--.--.-- -- l スポンサー広告 | top ▲
very likely と数字

前の記事で、very likely は事実上の断言、みたいな話をしました。その点について、ちょっと詳しく話しておきましょう。

IPCC に関する説明を見ていると、たまに次のような表を見かけることがあります。

政策決定者向け要約における可能性に関する用語

確率日本語訳
virtually certain 99%以上そうとしか思えない
very likely90-99%とてもありそう
likely66-90%まあまあありそう
medium likelihood33-66%ありそうななさそうな
unlikely10-33%あまりなさそう
very unlikely1-10%ちょっと考えにくい
exceptionally unlikely1%未満正直、あり得ない


ははは、日本語訳のところはこのブログにあわせて勝手に訳してしまいました。ちゃんとしたのを読みたい人は、wikipedia の記事などを読んでください。

そうです。前回とりあげた very likely という言葉には、数字がくっついていて、確実なことを表している順に、他の副詞と一緒に並べられていたのです。

それによると、very likely は 90-99 %。少なく見積もって 10 回に 9 回はおこる、これに反することは、10 回に一回よりも少ない、ということになります。

90 %-99 %という確率。日常生活ではどのような意味を持つでしょうか?

たとえば、夕方の降水確率が 90 % と言われて、出勤時に傘を持っていきますか?「会社に傘を置いてるもんね」って言われそうな気がしますが、まあ、とにかく、帰りに傘が必要だと思いますよね。

このとき、傘を持っていったのに帰りに雨が降らなかったら?「気象庁のバカが、また予報外しやがって」と思う人が多いのでは?「あ、残りの 10 % に当たったんだ。」なんて考える心の広いお方は、あまりいなさそう。

つまり、降水確率 90 % というのは、一般人にとって、気象庁がかなり気合い入れて「雨、降るから傘持って行けよ」と述べたという認識になる。「傘を持っていくか否か」という、日常生活における「政策決定」をこのデータから求められた場合、90 % という結果からは、傘を持っていく、という結論しか出ないんだろうな、と僕は思います。

それでは、どこかの国の政府が、もしくは国際機関が、温暖化ガスの排出に関する政策決定を行う場合、IPCC が 90-99% の確率だと言っていることは、どんな意味を持つでしょうか?

もし、人間の出した温室効果ガスが温暖化を引き起こしていないなら、この点に関する限り、なんら行動を取る必要は無いわけです。だから、「二十世紀の中頃から、地球の平均気温が上昇しているのは、人間が出した温暖化ガスが原因である」ということが、真実であるか、そうではないか、というのは、そもそも対策を取る必要があるのか、という前提条件に関する、重大な問題となるわけです。

政策決定は、IPCC の報告書を参考にして行うことになります。そうしないと、「IPCC 報告書なんて、使い物にならないダメダメレポートだぜ」と考えた理由をもっともらしく説明しなければならないですから。で、その IPCC の報告書に 90 % から 99 % の確率だと書いてある。

少なくとも、「人間活動が温暖化の原因になってるかどうかなんてわかんないから、排出抑制なんて、バカのやることじゃん」という結論をこのレポートから出すことはできません。排出抑制をしない、という選択もあり得ますが、その場合は、「地球温暖化なんてたいした問題じゃないから気にすんなよ」ということを示す、別の理論武装が必要でしょう。

これが、第三次報告書にのっていた、「likely」という単語ならどうか。ちなみに likely に割り当てられたバーセンテージは 66-90 %。もっとも低い値を取ると、さきほどの命題が正しい場合と正しくない場合は、2:1 という比になってしまいます。これだと、「人間の出す CO2 なんて関係ないかもしれないんだから、真っ先にCO2 排出削減に取り組むのはおっちょこちょいだろう。世間様の動向を見ながら、ゆるゆると対策を進めよう。」みたいな感じになってもおかしくありません。

いろいろと話してきましたが、もう一度考えてみてください。

「very likely」と書いたIPCC は断言したのかしなかったのか。

断言していなかったとして、断言した場合とどれだけ違いが出るのか?

前の記事の話に戻りますが、いろいろ考えると、僕は、IPCC が断言した、と記事に書いてしまった塩谷さんが、そんなに間違ったことを言っているとは思えないのです。

数字の意味

さてさて、very likely は 90 % から 99 %、なんて議論してきましたが、でも、この数字は実際には何を表しているのでしょうか?

まあ、IPCC が言っているとおり、「二十世紀の中頃から地球の平均気温が上昇しているのは、人間が出した温暖化ガスが原因である確率が 90 % から 99 % だよ」ということですが…

ウェブ上で、IPCC がこの数字を出していることを持って、温室効果ガスの影響が「定量化」された、と言う温暖化支持派の人たちを見たことがあります。「人間が出した温室効果ガスの影響は明らかなんだよ、バカタレ。すでにこの問題には決着が出てるんだ、IPCC が厳密に定量的に見積もってるんだ、テメェの入る隙はねえんだよ」てな感じ。

でも、この懐疑論批判はいただけません。温暖化懐疑論側の人が「90 から 99 % なんて確率をつけているけど、その数字は、どうやってでっち上げたんだ!このカス!いい加減な数字つけてんじゃねーよ、それでも科学者か!」と言っているのを見たことあります。

まあ、小学生がけちをつけているみたいではありますが、それでも積算根拠を示してきちんと返答するのはたぶん不可能。ということは、懐疑論側は IPCC の痛いところを突いているのかな?

「そもそも『人間が原因である確率』ってなんだ、説明してみろ!」という批判も、返答が難しいですね。

確率 90 - 99 %って、今の状態の地球を 100 個作ったときに、 そのうちの 1 個から 10 個でみられる温暖化が人間のせいではなく、それ以外の地球で起きているのは人間のせい、というわけでも無いですし…。

じゃあ、何なんだ?

それは、IPCC の内部事情から、やむにやまれず生み出された数字なのです!!

と書くと、なんだか陰謀論みたいですね。

いろいろと考えるべきことはあるわけで…。これについては次回の記事で。

タグ 記事:IPCCと断言
タグ 記事:IPCCと断言 はてなブックマーク - とってもありそうって、どんだけ?
2009.05.05 Tue l 温暖化懐疑論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

コメント

コメントの投稿












       

トラックバック

トラックバックURL
→http://onkimo.blog95.fc2.com/tb.php/49-b6e85be5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。