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本来ならこのような本は取り上げるべきではない。懐疑論業界で盛り上がっているわけでもないし、述べられてる懐疑論の内容も、どうしようもないので、批判する価値さえない。

しかし、それでもをここで取り上げたのは、読んでしまった私、onkimo の心にわだかまる憤怒のはけ口とするためだ。

本は、「環境問題の基本のキホン」という、筑摩プリマー新書から出ている新書である。創刊のあいさつによると、筑摩プリマー新書は「これまでの新書よりもベーシックで普遍的なテーマを、より若い読者の人たちにもわかりやすい表現で伝え」るものであるらしい。ジュニア向けの本であると考えて良いだろう。

著者は志村史夫氏。略歴によると、日本とアメリカで長らく半導体結晶の研究に従事していたとのこと。現在は日本とアメリカの大学で教鞭を執っている。氏は、本も多数書いている。一般向けの科学の本も数多く含まれているようだ。わかりやすく書く才能のある人だと思われる。

問題の本のタイトルは、先にも書いたとおり、「環境問題の基本のキホン」。サブタイトルとして、「物質とエネルギー」と書いてある。

帯には、

CO2 は、「地球温暖化」の原因にはなり得ない!



と大書してある。このような扇情的な文句を書くセンスは、私にはいただけない。それでも、この帯を見るに、著者には相当な自信があるのだろう、と考え、どのような温暖化批判が展開されているのか、それが若い読者向けにどのようにわかりやすく書かれているのか、期待して、本を手に取った。

本の前書きは、ギリシア時代の 4 元素説からスタートして、4 元素を「物質」と「エネルギー」ととらえ直すと現代的な意味を持ちうることを指摘し、そして、人類の文化、文明の駆動力がこの「物質」と「エネルギー」である、と結論づけている。その上で、

現在、私たち人類はさまざまな"環境問題"に直面しており、たとえば「地球温暖化」や「ダイオキシン」など科学的根拠があるとは到底思えない「問題」が政治的、社会的、経済的観点からマスコミをにぎわしています。



と述べ、科学的に冷静に考えることでしかこれらの問題の真の解決は得られず、その第一歩は「物質」と「エネルギー」を理解することである、と説いている。

その言葉通り、この本は、前書きに続く序論から、物質とエネルギーという言葉を軸に説明を続けていく。実質的には、様々な物理学の基礎的な概念の、初学者向けの説明だ。半導体研究のバックグラウンドを持つ筆者の得意分野と推察され、環境問題をタイトルとした本としては、やや我田引水なきらいがある。私は一抹の不安を抱いた。

帯にあった温暖化については、なかなか説明が出てこない。まあ、たしかに環境問題、というくくりでは、温暖化問題はほんの一部でしかないからやむを得ない面もある、と自分を納得させながら、読み進めていく。

温暖化の話が出てきたのは、熱について扱った章においてだった。5 章、「熱エネルギー」だ。

この章では、まず、人間が熱をどのように理解してきたかを簡潔に述べ、温度について説明し、比熱の概念を導入する。そこから、水の比熱に思いをはせ、さらに、蒸発潜熱などを語り、水があるおかげでいかに環境が安定しているかを調べている。

そして、地球温暖化の話が出てくる。まずは「温室」の説明だ。ガラスなどの素材が、赤外線、つまり、熱を遮る「囲い」となり、そのために温室内が暖かくなる、と説明する。それから大気の話に移り、酸素と窒素には「温室効果」がなく、水蒸気や CO2 などの温室効果ガスによって、地球が温暖に保たれ、その効果がなければ地球は -18 ℃になってしまうので、温室効果ガスのおかげでわれわれは生きられるのだ、ということを述べている。

そのうえで、なぜ CO2 の増加が温室効果の増加を生まないかを述べる。多少長くなるが、その部分を引用しよう (強調は onkimo による)


さて、先に列挙しましたさまざまな温室効果ガスがそれぞれ同程度の温室効果を持つか、といえばそうではありません。じつは、温室効果のおよそ 90 % は水蒸気の貢献です。もちろん、温室効果の物理的原因を比熱のみに帰することはできないのですが、 比熱が大きな要素であることは間違いありません。 「地球温暖化」の元凶にされている CO2 の比熱は水の比熱の 5 分の 1 です。しかも、大気中に占める CO2 の割合は、水蒸気の 100 分の 1 ほどの 0.035 % です。このような CO2 の増加が「地球温暖化」の主因になりうるのでしょうか。私は、さまざまな科学的見地からも歴史的事実からも断じてあり得ないと 思います。 もちろん、地球の気温が上昇すれば海水などから離脱する CO2 が増えますので、大気中の CO2 は増加しますが、CO2 の増加が地球の気温を上昇させるのではありません。



比熱?

比熱!

比熱$*¥%@&?#!!!

温室効果のメカニズムについて述べた議論の中で、CO2 の比熱について議論されているのを見たことがある人はいるだろうか?なぜ、CO2 の比熱がなぜ温暖化に結びつくのか?

私だって CO2 の 比熱 が「地球温暖化」の主因になることは「さまざまな科学的見地からも歴史的事実からも 断 じ て あり得ないと思」う。

なぜ、志村氏は、だれも見向きもしない比熱について、わざわざ取り上げたのか?温室効果について、最初に熱を閉じこめる「囲い」と表現しておきながら、比熱について議論する。はたして、氏は比熱が大きくなることで、温室効果がどうなる、と言いたいのか?熱を「囲う」ことに、比熱がどのような影響を及ぼすというのか?

CO2 の比熱が水に比べて低いから、何なのだろうか?どうして比熱が大きい要素であることは間違いないのだろうか?「温暖化」という、いわば地球の熱に関わる現象だから、比熱が「大きな要素」であるはずだ、という 短 絡 的 な思考ではないのか?

温室効果について、一応、赤外線に対して不透明な物質が熱の一部を送り返すこと、とある程度正確な説明しておきながら、「比熱が大きな要素であることは」間違いないなどと、とんちんかんなことを述べる。本気でそう思っているとしたら、かなり救いがたい。

現在まであまたの懐疑論を見てきたが、志村氏の批判はその中でも群を抜いてレベルが低い。氏はまったく温室効果について理解できていないに相違なく、それで「温室効果の物理的原因を比熱のみに帰することはできないのですが、比熱が大きな要素であることは間違いありません」逃げを打ったとしか思えない。そして、彼が勝手に作り出した、誰も知らない「CO2 比熱による温暖化論」を、科学的根拠が無いなどと批判する。

読者がまだ何も知らない若い人たちだと思って、このようななめきった態度に出たのだと思われる。なんと許し難いことか。

いやはや、少し熱くなってしまった。

この本全体の出来は、そんなに悪いわけではない。ちくまプリマー新書の対象でである若い読者たちに、物理的な知識を持ってもらう、という観点では、ある程度よく書かれているのではないだろうか。文章は読みやすく、また、著者の手書きである図や挿絵は素朴で好感が持てる。

それだからこそ、温暖化批判の最悪さ加減が際だつ。しかも、タイトルに「環境問題」と標榜し、帯に「CO2 による温暖化」と強調している。決して本文の主眼ではない部分で、著者が明らかに理解しておらず、いい加減にしか扱っていない話題を全面に押し出しているのは、なぜだろうか?温暖化懐疑論ブームに便乗した商業主義なのだろうか?

著者は、後書きで、昨今の環境問題に対する義憤からこの本を書いた、と述べている。地球環境問題に関してマスコミや国、公的機関から発せられる、科学的根拠の無い情報が、膨大な額の無駄遣いにつながって国民一人一人に跳ね返るのみならず、本当の問題の解決を遠ざけてしまっていると、現状を憂えている。そして、いかがわしい情報に惑わされないためには、科学的知識が不可欠である、と訴えている。

義憤は結構だが、科学的根拠に基づかない議論をしているのは、はたしてどちらなのだろうか?

なぜ、理解していない問題について議論するのか。なぜ、みずから"CO2 比熱温暖化論"とも言うべきトンデモ理論を生み出し、それに対して批判を加える、という自作自演を行うのか?はたして、志村氏は何と戦っているのか?

前書きに、環境の諸問題の解決は冷静な科学的議論でなければならない、としておきながら、憤りに目がくらんでしまったのであろう。だが、たとえ義憤ではあれ、決して科学的な議論に感情を持ち込むべきではない。

正義を背負った志村氏は、冷静さを失い、なおかつ、傲慢にも、自分の理解不足に読者が気づかないだろうとたかをくくり、地球温暖化研究者に対してあらぬ誹謗を投げつけている。

科学的な根拠のない情報を発しているのはどちらなのか?いかがわしい情報で惑わしているのはどちらなのか?問題の本当の解決を遠ざけているのは、実は志村氏ではないのか?

怒りは、たとえ、それが義憤であれ、目を曇らせる。自らの欠点を恥じる心を消し去り、相手の意見を謙虚に受け入れる余裕を失わせる。冷静で慎重な議論を不可能にし、無意味で身勝手な非難のみを生み出す。

科学の議論に正誤はあっても、正邪はないのだ。正義を背負った瞬間、実はその人は科学を議論する資格を失っている。志村氏は、自分を律することができず、彼の温暖化批判は無意味で非道な中傷へと堕してしまった。

志村氏の本は、温暖化の研究と社会の関わりにとって、そして、地球環境問題を理解したい読者にとって、百害あって一利なしである。この本は問答無用で回収され、絶版となるべきなのだ!著者の謝罪を要求する!

義憤を背景にした情緒的な議論は、科学、技術の発展の妨げでしかないのだ!

と、温暖化の「気持ち」というタイトルのブログを書いている私は、強い憤りとともに、断言し、この記事を結ぶこととする。

はてなブックマーク - 最低最悪の温暖化懐疑論 --- 「環境問題の基本のキホン」を読んで
2009.04.29 Wed l 読書感想文 l COM(0) TB(0) | top ▲

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