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一連の記事の第一回目はこちら
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CO2 の増加によって起こる温室効果の増大を説明しよう、という、簡単そうに見えて、実は大それた目標を心に抱いて書き始めたこの一連の記事。二、三回ですませる予定がだらだらと長くなってしまった。それでも、ようやく核心に近づいてきた。

今回は、霧を使って脳内実験をしてもらい、放射伝達理論のある一つの概念を説明する。なお、前回に引き続き、厳密さは犠牲にしてあるので、そこんとこ、よろしく。

霧を使った実験

実験の前に、まずは霧の話。霧がかかると、目の前が白く変わる。これは、霧を作る小さな小さな水滴が、光を散乱するからだ。空気の分子による散乱と違い、水滴が起こす散乱は、どんな波長の光に対しても同じように働く。だから、霧に包まれると周りが白くなっていく。

それでは、脳内実験スタート。次の装置を考えよう。図を見ていただきたい。汚い絵だとか批判しないように。

霧実験


真っ暗な部屋で実験を行う。ガラス板 A と、黒く塗られた板 B がある。観測者は板 A の方から装置をのぞき込んでいる。二枚の板の間には霧を流し込むことが可能だ。また、この装置では、上の方に光源があって、スイッチを入れると下向きの光線を出すようになっている。

板と板の間に霧が無い場合、上からの光線は下方へと通過してしまって、板 A からのぞき込んでいる観測者の目には入らない。ところが、霧を発生させると、散乱によって光が観測者の目に届く。つまり、霧が白く光って見える。この装置では、板 A と B の間隔は変えることができるようになっている。その間隔を d としよう。

それでは、光源のスイッチを入れ装置の間に霧を発生させて、実験開始。

まず、d をとっても小さくしてみよう。当然、霧の層は薄く、板 B が黒々と見えている。

d を少しずつ広げていこう。このとき、板の間に充満させている霧の濃さ自体は変わらない物とする。正確に言うと、ある体積に含まれる霧の粒子の数は、d によらず変化しないとする。

すると、どうだろう。ガラス板 A を通して見ている観測者には、霧が濃くなっていくように見える。つまり、霧の白さが増していき、板 B の黒が見えなくなっていく。白さが増していく、というのは、散乱された光が増える、ということ。だから、霧がより明るく輝いて見える。

霧の明るさに注目してみよう。下のグラフを見てほしい。一生懸命書いているのだから、汚いグラフだなんていわないように。

明るさグラフ

縦軸に観測者から見た霧の明るさ、横軸に板の間隔 d がとってある。

d を増やしていくと、霧の入った箱はどんどん明るくなる。でも、無限に明るくなれるかというと、そんなわけはない。最初は間隔 d に比例して明るさが増していくけれど、次第にその増え方は鈍り、最後には d を増やしてもほとんど変わらなくなってくる。

実験から、ある目安になる長さ、 d0 を導入することができる。間隔 d が長さ d0 より小さければ 、d を大きくすればするほど、つまり、板の間隔を広げるほど、そして、板の間に挟まれる霧の量が増えるほど、霧は明るくなっていく。一方で、目安の長さ d0 より d が大きくなってしまえば、それ以上板の間隔を変えてもあまり明るさは変わらない。もちろん、霧の明るさの変わり具合が急に変わるわけでもないので、d0 っていうのはあくまで目安だけど。

d0 についての別な実験

この d0 って言う長さは何を意味しているのだろう?今度は別な状況を考えてみよう。

板 B に LED で文字を書いて、光らせてみよう。文字は、なんでもいいや、「温暖化」とでも書いてみようか。そして、板 A と B の間には、さっきの実験と同様に霧を充満させつつ、さっきと違って今度は上からの照明のスイッチをオフにしておく。

d が小さいときは、くっきり「温暖化」と書いてあるのがわかるはずだ。それでは、次第に d を大きくしていこう。すると、霧のせいで文字がぼやけてくる。「温暖化」の文字の細かい線がにじんでいき、だんだん三つ並んだ丸い光の固まりにしか見えなくなってくる。その光の固まりもまたぼやけていき、そのうえ全体的にも暗くなりはじめる。

LED からの光がかなり暗くなったあたりで、板の間隔 d が d0 に等しくなる。d をもっともっと大きくすると、もはや、温暖化の文字は原形をとどめず、かすかに明るいかな、と思う程度になってしまう。

ほんとうは細かな設定の違いで見え方が変わるから、上の話はかなりおおざっぱ。だけど、d0 は、 LED からの光がかなり暗くなってきたところ、というのは押さえていてほしい。

d0の意味

この d0 というのは霧が LED の光を「遮り始める」長さになる。遮り始める、という表現もなかなか微妙だね。なんと表現すればよいか…

専門的な言い方では、二つの板の間隔が d0 であるとき、板 A と板 B のあいだの「光学的厚さが 1」である、となる。そのココロは、「板 B から出た光線が板 A にたどり着くまでに、まあ 1 回くらい散乱されるよね」ということだ。

散乱されるかどうかは光光線と霧の粒子の位置関係で決まり、確率の問題になってしまうから、実際には一回も散乱されずにすり抜けてくるやつもいるし、何回も散乱されてしまうこともあるけれど、平均すると1 回くらいかな、という意味だ。

なんとなく、わかってもらえただろうか?この d0 の意味が。

さて、もう一度最初に実験に戻って、霧の明るさが、なぜ d0 を越えると d を増やしても変わらなくなるか、考えてみよう。

d が小さいとき。観測者の目からは、霧の粒子のほとんどが見えている。霧に光が当たると散乱が起きるわけだけど、散乱を起こした霧の粒子の数は d に比例して増え、そのほとんどが見えるので、目に入ってくる光も同様に増えることになる。つまり、霧の明るさは d に比例して増えるわけだ。

一方、d が d0 より大きい場合。この場合、d が増えることによって、あらたに散乱するようになった霧の粒子が放つ光は、手前の霧の粒子のせいで再度散乱される可能性が高い。奥の方の粒子から、せっかく眼の方に飛んできた光を、手前の霧の粒子がじゃましてしまうのだ。

まとまりきらないまとめ

以上で頭の中での実験を終えよう。

実験で、d0 という長さが出てきた。専門的に言うと、「板の間の光学的厚さが 1 となる長さ」だ。別の言い方では、「平均自由行程」と言ったりもする (かな?ちょっと自信ないですが)。

d が d0 より小さい場合は、霧の明るさは d に比例して大きくなるけど、d0 よりも大きい場合、d が変化してもあまり変わらない。d0 よりも d が大きい場合、観測者を基準にして奥の方にある霧の粒子が散乱した光が、手前にある粒子に散乱されてしまうからだ。

これをおおざっぱに言いかえてしまうと、観測者が見るのは、ガラス A から d0 以内の距離で散乱された光だけだ、ということになる。それより奥で起きた散乱は、あまり明るさには影響を及ぼさない。

さて、この長さ d0 だけど、実は霧の濃さによって変わってしまう。

もし、霧の粒子が空気中に 2 倍の密度で漂っていた場合、グラフはこんな感じになる

brightness_exp2.png

いや、あらためてグラフを書くのが面倒くさかったので、先ほどのグラフを水平方向に二分の一に圧縮しただけなんだけど。

実は、霧の濃さ(体積あたりの霧の粒子数)を倍にしたとき、d を半分にすると、もとの明るさと同じになる。なので、d0 は 1/2 になる。

つまり、霧の濃さと d0 は反比例する。別な言い方をすれば、霧の濃さと d0 の積は一定、ということになるわけだけど、なんとなく感じがわかるかな?

d0 は、光の粒子がまあ 1 回くらい散乱される距離だと言った。光は霧の粒子の間をすり抜けて走って、もし粒子にぶつかると散乱される。粒子の密度が 2 倍になったら、その半分の距離でぶつかってしまいそう、そんな風に理解してもらえればいいんじゃないか、と思う。

言いたいことはだいたい書いた。長々と文章を読んで、大変だったと思う。今後使うので、 d0 について説明した次の二つのことは忘れないでほしい。

一つは、観測者は d0 より手前で散乱された光を見てる、ということ。

もう一つは、d0 は霧の濃度に反比例する、ということ。

次回は、二酸化炭素が増えた場合の大気の「輝き」の変化について説明するつもり。導入で終わってしまうかもしれないけど…。でも、やっとここまでたどりついた。まだもうすこし時間がかかるけど、僕を見捨てないように。

タグ 記事:飽和論

タグ 記事:飽和論 はてなブックマーク - 温室効果のメカニズム(6) 光学的厚さが1になる距離
2009.04.02 Thu l 温暖化論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

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