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前の記事(温暖化のメカニズム概論1)

温暖化のメカニズムを理解するために、僕、onkimo はみんなに赤外線を感じる、新しい眼を持ってほしいと思っている。もちろん、本当に持つことはできないから、もしそんな眼を持っていたらどうなるかがわかる想像力を身につけてほしい、ということだけど。

物を見ると言うこと

最初に、そもそも、ものが見えるとはどういうことか、ということを考えたい。

目の前の物を見てみよう。机でもリンゴでも PC のディスプレイでも何でもいい。「見る」という行為の対象となる物体から、光がやってくる。そのもの自身が光っている場合もあれば、ほかの光源からの光を反射している場合もある。

物体から放たれた光の一部が眼に達する。瞳孔を通り、水晶体で屈折されて、網膜に像を結ぶ。その後、網膜の細胞から脳に電気信号が神経を通って送られて、見えた、ということになる。

ここで「光」と呼んでいたけど、これは、可視光線、という、電磁波と呼ばれる物の一種だ。前の記事でも軽くふれたけど、電磁波は、その波長によって分類されている。波長が長い方から順に、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X 線、ガンマ線、だ。つまり、後で出てくる赤外線も、可視光線の兄弟分、ということになる。詳しくはこちらの wikipedia の記事を参照してほしい。

さて、身の回りの物は、二種類に分けることができそう。自分で光っている物体と、なにか光源からの光を反射して光を眼に送っている物体だ。

液晶ディスプレイ上でこのブログを読んでいる人も多いと思うけど、その人は、蛍光灯(正確には冷陰極管)や白色LEDであるバックライトの光を見ていることになる。つまり、自ら光る物体を見ていることになる。ちなみに、もともとバックライトの色は白色なんだけど、画面上で色がついて見えるのは、ディスプレイの画素の色に合わせて、液晶が一部の波長の光を遮っているからだ。

もし、このブログを紙にプリントアウトして読んでいる人がいたなら、その人は電灯や太陽からの光が紙に反射した光を見ている。白く見える部分は光をほとんど反射している。紙の上の絵や文字は、インクが一部の、またはほとんどの波長の光を吸収しているために見えている。

自ら光って見えているものと、光を反射して見えているもの、どちらが多いだろうか。部屋の中にいる場合、窓を塞いで電気を消せば、光を反射している物体は見えなくなる。ほとんどの物は見えなくなるだろう。普段の生活で我々が見ているもの多くは、光を反射することによって見えている。

赤外線とは

赤外線を感じる眼も、当然赤外線が入ってくることによって「見る」。ただし、赤外線を見ているために普通の眼とはすこし違うことが起きる。

というのも、赤外線(と言ってもいろいろあるけど、ここでは温暖化に関わる「遠赤外線」と呼ばれる、比較的波長の長いものを扱う。でも、面倒くさいから「赤外線」とだけ書く)は、地球上にある物体が自ら放っているからだ。

前にちらっと述べたけど、物は温度に見合った光を放っている。温度が高ければ高いほど、放つ光は強くなる。さらに、波長の短い光をより多く放つようになる。

太陽はとっても高温 (6000 ℃くらい。絶対温度で話した方がわかりやすいからだいたい 5700 Kくらい)だ。だから、とても明るく輝いていて、それも、主に可視光線を出している。ちなみに可視光線の波長は、だいたい 400 nm から 800 nm (1 nm は 10 億分の 1 m)。赤外線もぎらぎらとたくさん出しているのだけど、中心は可視光線だ。

それに対して、地球上のそこら辺にある物は、10 ℃とか 20 ℃とかの温度だ。絶対温度だとおおざっぱに言って 300 K くらい。黒体輻射をする物体がもっとも強く放射する波長は、温度に反比例するので、地上の物体の放つ黒体輻射は 10 μm (1 μm は 100 万分の 1 m) 近辺が強い。

このあたりのことは、前回の記事に載せた図を見てもらえばより感覚的につかんでもらえるだろう。
大気の透過率
(クリックで拡大)



とにかく、地球上の物体は赤外線を放っている。一方で、可視光線を放ってはいない。普通の眼で物が見えるのは、先にも書いたように他の光源の光を反射しているからだ。可視光線を感じる普通の眼が見る世界と、新しい眼が見る世界は、その点で大きく違っている。

赤外線を感じる眼

さて、実はこの赤外線を感じる眼に似た機能を持つ機械は、すでに存在している。テレビで見たこともあるだろう。わかるだろうか?

地球上の物体が自ら放つ、赤外線の輝きを感じる機械。それは、サーモグラフィーと呼ばれる。

温度の高いところを赤っぽく、温度の低いところを青っぽく色づけてある映像を見たことがないだろうか?それがサーモグラフィーで撮影された映像だ。たとえば、こちらの wikipedia の記事には、犬のサーモグラフィー映像が出ている。サーモグラフィーでは、温度を赤外線の強さから求めている。温度が高いところは強く、低いところは弱く赤外線を発しているから、それに基づいて温度を測れるのだ。

赤外線を感じる眼は、サーモグラフィーとよく似ているから、この後の話で、赤外線の光景が想像できなくなったら、テレビで見た温度を調べている映像を思い出してほしい。だけど、サーモグラフィーとの違いも注意していてもらいたい。

違いの一つ目。サーモグラフィーでは色がついているけど、今後、色を表現するのは面倒くさいので、明るさだけで語ろう。これから白黒写真を想像してほしい。赤外線が強いところは白く輝く。弱くなるに従って黒みがかっていく。サーモグラフィーの画像で赤いところは眼には白く輝いていているように映り、青っぽいところは暗い灰色をしているわけだ。

二つ目。サーモグラフィーは、物体の温度を表示するための機械だ。だから、物体とサーモグラフィーの間にある空気の影響を受けると、間違いの元。空気には温室効果ガスが含まれ、それが赤外線のじゃまをする。だから、サーモグラフィーでは、前の記事で述べた「大気の窓」の中にある波長を利用している。つまり、空気をすかすか通り抜ける波長の赤外線を利用しているのだ。

だけど、このブログは温暖化について語っているわけだから、温室効果ガスを無視するわけにはいかない。そこで、我々の目は、地球からの熱放射を全体的に見ることができる、としよう。眼は大気の窓の中にある赤外線にも、水蒸気や二酸化炭素で吸収されてしまう波長の赤外線にも感度を持つ、ということだ。

感じる新しい眼で見た風景

今、僕は寝室のベッドの上に寝転がって、膝の上に置いたノート PC でこのブログを書いている。サイドテーブルには、食べかけのクッキーと、淹れてから少し時間のたった紅茶がおいてある。まあ、ありふれた光景だ。(あり得ないほど部屋が散らかっているのはここでは無視しよう。)

さて、この部屋を赤外線を感じる目で見たら、どうなるだろうか?普通の目で見た可視光線の景色とちがう。それを白黒写真にした風景とも違っているはずだ。

新しい眼で見た部屋の中は、グレーの、あまりコントラストの無い感じに見えるだろう。部屋の中にある物は、だいたい似たような温度だからだ。つまり、発する赤外線の強さはあまり変わらない。まあ、温度が同じでも、材質によって発光特性が違うはずだから、少しは質感みたいなのが見えるかもしれないけど。

サイドテーブルを見てみよう。紅茶のカップが、ぼうっと光っている。さめかけとはいえ、まだまだ周りより温度が高いからだ。淹れたてだったらもっと明るく輝いていただろう。

PC は、普通の目で見たときと全く違う。動いている PC の中では CPU やハードディスクなどいろんなものが発熱している。僕の使っている Let's note は、熱を底面から放熱していて、結構あつくなるから、PC をひっくり返してみると、新しい眼には、底面の放熱している部分が明るく輝いて見えるはずだ。

一方で、液晶ディスプレイはたいして輝いていない。バックライトが可視光線しか出していないからだ。だから、普通の目で見ると光っているディスプレイは赤外線を感じる眼には大して明るく見えない。もちろん、文字や画像なんか見えやしない。

なお、ここで空気中の温室効果ガスにはふれなかった。身の回りの物を見るだけなら、あまり大きな影響を及ぼさないからだ。この後の記事で、外の景色を見るときには考えに入れることになるだろう。

新しい眼で見る世界がどんな感じかわかってもらえただろうか?

赤外線を持つ眼が見る風景を精密に描こうとしたら、もっと眼のスペックを厳密に決めないといけないけれど、この後の温暖化についての説明はかなりおおざっぱだから、そこまでのことをするつもりもない。

だから、自分なりに想像をたくましくしてほしい。そして、いろんな風景を赤外線で見た場合を想像してほしい。熱い物ほど明るく輝く、という基本線を押さえておけば、そんなに外れることは無いはずだから。

温暖化メカニズムの説明に入る前に、次の記事では、練習問題を考えてみよう。

タグ 記事:飽和論
タグ 記事:飽和論 はてなブックマーク - 温室効果のメカニズム概論(2) 赤外線を感じる眼
2009.03.20 Fri l 温暖化論概論 l COM(2) TB(0) | top ▲

コメント

管理人のみ閲覧できます
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2010.01.30 Sat l . l 編集
Re: No title
秘密コメ様

コメント、ありがとうございました。

プリントアウトして額縁に飾っておきたいくらいのうれしいコメントでした! 公開コメで書いてほしかった ^^;

文章を書く練習というのもこのブログの目的の一つですので、励みになりました。

さて、前にも書きましたが、温室効果はきちんと理解するのが難しいので、よくわからないのも当然だと思います。わたしだって知識に穴があるのを自覚しています。

「放射と飽和論」シリーズは温室効果メカニズムの一部しか扱っていません。あれだけで温室効果が理解できないのは当たり前です。将来書き足していく予定ですので、そちらもよろしくお願いします。

質問、歓迎です。難しいテーマなので、残念ながらまともに答えられる可能性は低く、申し訳ないのですが、それでもよければ書いてみてください。
2010.01.31 Sun l onkimo -. URL l 編集

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