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池田さんのブログ

池田信夫さん、という経済学者がいらっしゃいます。著作を多数なさる方で、また、非常に影響力のあるブログをかかれています。情報通信や、マスメディアのことをよく扱っておられ、自由主義の観点から、日本社会に存在する各種の規制を批判しておられます。

その池田さんのブログで、温暖化懐疑論が展開されています。最近、こんな記事を書かれていました。

この記事では、日経新聞が寒冷化を報じた記事が引用されています。曰く、地球は当面寒冷化する模様。1970 年代から一貫して上昇してきた地球の平均気温は 1998 年頃にピークを迎えたが、その後は下がり続け、2008 年は 21 世紀に入ってからもっとも寒冷だった。科学者たちは寒冷化の原因として、「太平洋十年規模変動」と「太陽活動の変動」をあげている、

池田さんは、タイトルで「地球は寒冷化している」とかかれています。これまでの記事も併せて考えると、どうも、地球は「温暖化ではなく、寒冷化している」と言いたいみたい。

一般的に、温暖化懐疑論を唱えられる方は、温度をはじめとするデータの変化に過敏に反応されているような気がします。池田さんの例のように、2000年以来温度が下がった、とか、ほかにも、今年の北極海の氷は去年より減らなかった、とか、そんな例を温暖化に対する反証として示してくる。

池田さんは、特にこの傾向が強いようです。たとえば、こちらの記事を見てください。地球温暖化が社会的問題となった歴史的背景を池田さんなりにまとめていますが、その中で、

これはWMOの発表した、世界の主要な5観測機関の計測による先月まで約30年間の世界の平均気温を重ねた図である。各機関で計測方法に若干の違いがあるが、トレンドはほぼ一致している。1988年にIPCCが設立されたとき、最初のピークが記録されており、1990年(第1次報告書)および92年(第2次)に発表された彼らの黙示録的な予測は、これに影響されている。しかし、その後、平均気温は-1℃近く下がった。



とかかれています。つまり、IPCC が温暖化を唱えたのが、1988 年のピークに大きく影響されている、と述べておられる。ある 1年がたまたま高温だったため、IPCC の気候学者がレポートの内容を書き換えてしまったと。

このような、短期的な現象と地球温暖化が結びつけられている文章は、読んでいて非常に気持ちが悪い。21世紀になってから数年、温度が下がり始めた、寒冷化だ!とか、1988 年の気温のピークが IPCCに温暖化を強調するレポートを書かせた、という話は、ちょっとありえません。温暖化というのは、もっと長きにわたってゆっくりと進むものなのです。

どうして池田さんはこのような文章を書いてしまうのか。それを考えてみました。

経済にまつわることのダイナミックさ

私事で恐縮ですが、最近、私、onkimo は投資信託を買いました。TOPIX とかいう株式の指数に連動する投資信託です。これまで投資なんてしてこなかったですし、ほとんど知識もないのですが、株が安いというニュースを聞いて…。

さて、投資信託を買ってみて変わったのは、毎日の株価の動きがとっても気になるようになったことです。株価が上がると「しまった、もっと買い足しておくんだった」と思います。下がると、「ああ、私の大事なお金が減っていく」と悲しむ。二、三日続けて下がると、「このまま下がり続けて戻ってこないんじゃないか」と恐ろしくなる。

とはいえ、私だって株価の上下に翻弄されているだけではありません。何が起きているかを知り、将来に備えたい。そこで、ウェブ上で、その日の株価の動きについて、アナリストが書いている文章を読むわけです。すると、だいたい、その日の株価の推移がしばらく続きそうだと予想している。株価が下がった日には悲観的な、上がった日には楽観的なレポートが。いろんな記事を読んで受けた、全体的な印象なので、例外もありますが。

私のポートフォリオがいまどんな惨状になっているかは、ここではおいておきましょう。言いたいのは、投資信託を買ったことで、短い時間での変化と比較的長い期間の動きを連動させて考えてしまう気持ちがわかった、ということです。

また、ウェブ上でのアナリストによる今後の見通しが、おおざっぱに見るとその日の株価の変動をなぞっていることも、おもしろいと思いました。読んでいる私は、株価の変動を説明するアナリストやエコノミストの付和雷同性や、彼らの説明がただの後出しであることに批判を加えたくなります。でも、その考えはたぶん間違っているのでしょう。アナリストは株価の動きを説明する必要があるのですから、どうしてもその日の株価の動きに引きずられるでしょうし、また、ウェブに掲載するメディアの側も、その日の動きをなぞった記事を選択しているのだと思います。

池田さんも同じような思考回路なのかな、と思いました。。え、経済学者の池田さんを物のわかっていない個人投資家や株屋ふぜいと一緒にするな?これは失礼しました(^^;)

ですが、池田さんは経済学者といっても、象牙の塔にこもっている訳ではなく、社会、経済情勢を相手にされている。経済論戦が新聞紙上で、テレビで、雑誌で繰り広げられており、いつでもどこでも新たな情報が、新たな主張が耳に入ってくる。日々ダイナミックに状況は変化し、そんな中で池田さんも論じ方や立場を適切に修正していく必要があるのではないでしょうか。

気候を研究する人のスタンス

温暖化を研究する気候学者とは、状況がかなり違います。

CO2 が増えているのは、ここ何十年も変わらない事実です。季節ごと、数年単位のを除いてみると、CO2 の濃度はじりじりと、しかし着実に上昇している。CO2 が増加すると、温度が上がる方向に働くのは、気候学者には自明のこと。百年くらいかけてじわりと起こる変化に着目している彼らには、数年、十数年の変動は、むしろじゃまなのです。

そして、そのタイムスケールを追いかける研究者のタイムスケールも、経済の動きよりもずっとゆっくりとしたもの。気候学の研究者が書く論文は、多くて年2, 3 本だと思います。(査読付の雑誌に投稿される主著論文で、かつ full paper についてです。レターと呼ばれる短報や、解説記事、共著に加わっているだけのものなどはのぞいています。理系の他分野では論文が量産されるところもありますが、地球物理学系は一本一本の論文が長いので、こんなものでしょう。)一つの研究には多くの場合数年を掛け、その分立場を変えて行くにも時間がかかる。

そんな気候学者が多数集まって議論するのが IPCC。1 年暑い年があったからって、レポートの結論を温暖化に書き換えるような器用な身のこなしは不可能だと思います。

ほかにも経済学者と気候学者の違いがあるかもしれませんね。たとえば、経済の現場は 20 年もするとだいぶん変わってしまうでしょう。 20 年前の日本はバブル華やかなりし頃でした。そのころ、日本経済の強さを説明していた理論の枠組みで、失われた十年を過ぎてようやく回復してきたと思ったら、世界金融危機の荒波をかぶってふたたび沈んでしまいそうな今の経済状況を記述することができるでしょうか?少なくとも、大きな修正が必要なのではないかと想像します。

一方で、地球温暖化の理論は、基本的に自然科学に根ざしています。現在も、百年前も百年後も、二酸化炭素が温室効果を引き起こすことには変わりありません。地球に対する理解が進むでしょうからいろいろと修正は入るでしょうが、その根本的なメカニズムは不変なのです。

まとめ

池田さんは、ダイナミックに動く経済の日々の変化に注目し、それに機敏に対応していく生活をしている人だといえるでしょう。一方で、気候学者が扱うのは長い時間をかけてゆっくりと動き、しかもその本質となる物理メカニズムは不変である気候です。じっくりと腰を落ち着けて、細かな動きに惑わされずにものを見定める必要がある。

はじめに池田さんの記事のいくつかを呼んだとき、違和感を抱きました。池田さんがあまりに短い時間の変化を気にしすぎているように思えたからです。

投資信託を始め、経済ニュースを読むようになった今となっては、池田さんが細かい変化に敏感に反応するのも仕方がないかな、と理解できるようになりました。そのために大変高い授業料を払っているのですが…。

池田さんにも気候学者たちの気持ちをわかっていただきたいものです。池田さんに限らず、多くの懐疑論者の方に、地球の気温の短期的な変化に一喜一憂しないようになってほしい。あまり目先のことばかりにとらわれていると、大損しますよ。私のように…。

さて、冒頭にリンクを張った池田さんの記事についてはもう少し語りたいことがあります。が、長くなったので今日はこの辺で。
はてなブックマーク - 池田信夫さんの寒冷化論
2009.02.20 Fri l 温暖化懐疑論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

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