上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
はてなブックマーク - スポンサーサイト
--.--.-- -- l スポンサー広告 | top ▲
前の記事はこちら

「わたし、気体の圧力の求め方を知っているの」

ミドリが言った。

「ボイル--シャルルの法則。」

「そのとおりだ。本当は、状態方程式と言った方がいいけどね。」

「そう。状態方程式って言いたかったの。」

ミドリはメモ用紙にコリコリと鉛筆を走らせた。がっちりとした大文字の PV と RT の間に、イコール = と n がひっそりとたたずんでいる。

鉛筆をもらって、僕は状態方程式を少し書き換えた。左辺にはなにかを知らせる旗のように、P が孤独に立っている。右辺は密度と平均分子量、気体定数、温度の記号達が並んでいる。
「圧力は、密度と温度に比例する。ギュッと圧縮されていたり、温度が高かったりすると、その気体は圧力が高いんだ。

そのほか、空気の平均分子量に反比例する。分子量と言うのは、分子一個あたりの重さ。分子量が小さいほど、空気の中の粒子の数が大くなる。粒子の数が多いほど、圧力も高くなる。

密度、温度、そして平均分子量。これだけわかれば、圧力は決まる。」

密度が大きいほど、圧力は小さい。圧力が同じでも、温度が高ければ圧力は大きくなる。平均分子量はだいたい決まっていて、28.8 くらい。空気の組成というのはほとんどが窒素と酸素で、その他の成分はわずかだ。だから、人間のせいで CO2 が増えても大して分子量は変化しない。

ただ、忘れてはいけないのが水蒸気。水の分子量は 18 だから、密度と温度が同じであれば、水蒸気が多ければ多いほど圧力は大きくなる。

「でも、圧力は上に乗っている空気の重さで決まるのじゃないかしら。
春を待つ草花が感じる雪の圧力のように。」

ミドリがいうのも、ある種の真実だ。でも、圧力は、やはり、密度、温度、平均分子量で決まる。

上に乗っている空気の重さよりも小さな圧力を持った気体があったら、周りから押されて縮こまって密度も上がり、同時に温度も上がって大きな圧力を持つようになる。そのせいで、大気の圧力は上に乗っている空気の重さにほぼ等しいことが多い。

でも、それはある意味結果だ。ほんとうは密度、温度、平均分子量だ。

粘性も圧力と同様。温度などの物質の状態で決まる。オイルは温度が低いほどネバネバするけど、気体は逆だ。温度が高いほど、粘性が強くなる。

次は重力だ。

「重力は知っているわ。」

「そうだろう。でも、一応説明させてもらう。

重力は下向きの力だ。正確には、鉛直方向の下向きの力、だけど。
ガリレオが見つけたように、重いものにも、軽いものにも平等にはたらく。」

「平等?機会の平等、結果の平等、いろいろあるわ。」

「重いものはより強い力で引力を受ける。でも、慣性の法則があるから、その分加速されにくい。この二つの効果がうちけしあって、結果として加速度が一定になる。」

「つまり、結果の平等。重力は究極の社会主義者なのね。」

そして、コリオリ力。これも、平等な力、だ。重いもの、軽いものにかかわらず、ただ流れの向きに直角に、北半球ではその右向き、南半球では左向きに、速度に比例した加速度を生みだす。比例定数は両半球とも緯度が高いほど大きく、赤道では 0 になる。

「上野の科学博物館でフーコーの振り子を見たわ。永遠に揺れ、永遠に回りつづけ、おなじ場所から離れられない。現代社会の中でもがく、人間の暗喩かしら。」

「…。君、僕たちが何を話していたか覚えてる?」

「運動方程式の話。流体の運動を解くためには、圧力、重力、コリオリ力、粘性力が必要。」

「そう。だから、いま説明したように…」

「温度と密度、そして、平均分子量を知ることができれば、方程式が解ける。」

ミドリは僕の言うことを理解しているようだ。
タグ 記事:モデルとは はてなブックマーク - モデルとは何か (13) 圧力、粘性、重力、コリオリ力
2011.01.24 Mon l 温暖化論概論 l COM(0) TB(0) | top ▲

コメント

コメントの投稿












       

トラックバック

トラックバックURL
→http://onkimo.blog95.fc2.com/tb.php/108-c35b552d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。